浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百四十話

 無言で殴り続けて、どれくらいの時が経っただろうか。

 ガス怪人……蒲生は疲れる一方だが、ボマーにはそこまでダメージが通っていない。

 気持ちを全て受け止めるまでは倒れない。

 そう言っているようにも感じられる。

 

「はあ……はあ……」

「それで、終わりですの?」

「……ッ!」

 

 ガス怪人は最後に、全力の一撃を叩き込み。

 それでも倒れないボマーを見て、口を開いてしまった。

 

「アンタは、生徒会長としては言ってる事もやってる事も無茶苦茶っす。学校を守る為に蘇我高校と戦おうとか言いだしたり、その為に学校を休んでまで修行しに行ったり。人に迷惑かけてばかりっす。けど私達が協力なんかしなくても、アンタはほぼ一人の力でやりたい事をやってきた。私は誰かとつるまなきゃ、ろくに仕事なんて出来やしないのに……」

「……」

「私はアンタ以上の存在になりたかったっす。だからその為に、アンタを消すっす」

「それが、貴女が命を懸けた理由というわけですの?」

「……その通りっす」

 

 ガス怪人がそう呟いてから、ボマーが返答する。

 

「どうして、叶えたい願いがあるのに命を捨てられるんですの?」

「……」

「貴女はその願いを、絶対に叶えたかったんじゃないんですの? なのに……願いの為に死んだら、その後の世界を見る事すら叶わないんですのよ」

「ふん……アンタがそれを言うんすか?」

「私は命を懸けた事なんて一度もありませんのよ」

 

 ボマーの発言に、ガス怪人は言葉を詰まらせた。

 

「私は夢を叶えても絶対死にませんの。せっかく自分の夢がかなったのに、そんな世界で生きられないなんて勿体ないですわ」

「……」

「貴女は私が消えた後の世界で、やりたい事があったのでしょう? なら、何故!」

「そうでもしなきゃ、絶対アンタなんて倒せないと思ったからっすよ!」

 

 校庭に、ガス怪人の叫び声が響き渡る。

 

「本当は私だって分かってたっす。絶対にアンタなんかに勝てやしないって。けど、それなら命を懸けてもその可能性に賭けようと思っただけっす」

「蒲生さん……」

「ああそうっすよ。私はそうでもしなきゃ絶対にアンタなんかに勝てない人間なんすよ。だから魂を売った。アンタの命を奪おうとした。だから……薬に頼って命を捨ててでもやろうとした。それでも、私はアンタには勝てないんすよ。何でも一人でこなす完璧なアンタには、絶対に……」

「……」

「生徒会長として、アンタは不出来だけど。それでも、人間として強いのは間違いなかった。こんな無茶苦茶な考えしてる癖に、なんで一人で何でも解決出来るんだろうってそう思った……。だから、そうするしかなかったっす」

 

 そう告げて俯くガス怪人に、ボマーが言う。

 

「一人だったら、私はこうして貴女の前に立ててませんわ」

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