浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百四十一話

「私が戦えたのは、こうして生きているのは皆さんがいてくれたから。でも、私は誰かをまとめ上げる事は得意じゃありませんの。私は一人でも戦えると思っていたのに、いつの間にか皆さんの存在がかけがえのない……この戦いで得た財産になってましたわ」

「……勿論私も、とか言うんすよね?」

「その通りですわ。だって、今はこうしてお互いの事を話し合えている。だから、仲間ですのよ。それに……」

 

 ボマーが続ける。

 

「私、副会長である貴女に唯一勝てなかったものがありますわ」

「なんすか」

 

 ガス怪人は少し自分でも考えてみるが、思いつかない。

 生徒会長としての仕事をした事はないし、美咲には人間的な強さで負けている。

 群れなければ、自分は何一つこなす事が出来ない。

 

「私は貴女みたいに、誰かの心を掴む事が出来ませんでしたの」

「……」

 

 ガス怪人は少し黙り込む。

 

「今でこそ、私は成音さんと一緒にいますけど……貴女は戦わずとも、誰かの心に寄り添えて、それでいて人を笑わせるのが得意な優しい人でしたわ」

「私が? 優しい? はっ……何の事か分からないっすね」

 

 ガス怪人……蒲生は、洗脳前の美咲に対する憎しみ以外の記憶がほぼ欠如している。

 美咲の告げた言葉が、何一つ理解出来なかった。

 自分が人を笑わせる事なんて、出来るわけがない。

 

「今の貴女は忘れているかも知れない……けど、私がそれを覚えてますの。貴女は、生徒会の人間……いや、誰かと一緒に生きられるという面では私より遥かに優れてますわ」

「……なんすか。そんな事を言っておけば、私が素直に嬉しいと言うとでも思ったんすか」

「思ってませんわ。私は事実を伝えただけ、それをどう受け取るかは貴女が決める事」

「……そうすか」

 

 ガス怪人は、銃型の武器を構えなおす。

 

「なら、これが私の答えっす」

 

※※※

 

 無抵抗のボマーに、今度は遠距離からガスを放射するガス怪人。

 しかし……それでもボマーにはあまりダメージが通っていない。

 

「アンタから見て、私がどういう人間かは分かったっす。けど、それだけじゃ私には不十分なんすよ」

「不十分……ですの」

「私には仲間なんて必要ないんすよ。ただアンタに勝つ事、それが今の私に必要な事。ただアンタを消したい。殺したい。それだけが、私の全てっす」

「……」

「所詮今の私はそんな存在なんすよ。もう元の私なんてどこにもいないんすよ」

 

 蒲生が少しばかり諦めた顔でそう告げる。

 

「……私は、今の蒲生さんにもきっといいところがあるって信じてますわ」

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