浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百四十三話

 ボマーはもう一度構えを止め、バットを捨てようとした。

 しかしガス怪人が止める。

 

「もう良いっす。もううんざりっすよ」

「蒲生さん……」

「こんなやりとり……長く続けた所で、元の自分に戻る事はないし、私はアンタとつるむ気はないっす。そんな事を期待してたようにも見えるっすけど、それなら時間の無駄っす」

 

 ガス怪人は変身を解く。

 

「……」

 

 ボマーも変身を解き、六角美咲の姿へ。

 

「残念だったっすね。あの時拘束さえ解かなければ、てかドライバーさえ渡さなきゃ……仲間には出来なくとも情報源にはなれた筈っすけど」

 

 蒲生はそう告げる。

 去ろうとしたその時、美咲が叫ぶ。

 

「待ってくださいな」

「……」

 

 もう、なんだ……などと言葉を発する事さえ億劫になっていた。

 

「今日の所は引き分け……そうしますわ。けど、絶対にいつか決着をつけて……互いに仲間になれるよう努力しますわ。だから、蒲生さんさえ良ければいつでも戦いますわ」

 

 美咲の言葉に、蒲生は苛立ちながら返す。

 

「……勝手に言ってるっす。私はもう、アンタみたいな奴と関わりたくなくなったっすよ」

「そうですのね……けど、私をまた消したくなったらまた

「もううるさいっすね。戦わないっす。絶対に……もう二度と」

 

 蒲生はそう吐き捨てて、今度こそその場をあとにする。

 美咲の声が聞こえないくらい離れるまで、美咲は何も言わなかった。

 

「……それでも、私はまた戦えると信じてますわ」

 

 蒲生に聞こえた空耳か、それとも美咲本人が発していたのかはもう距離が遠くて分からない。

 相変わらずしつこい奴だと、蒲生は頭を掻きむしる。

 

※※※

 

 帰り道……。

 蒲生はただ一人、自分のした事を後悔しながら歩いていた。

 美咲みたいな無茶苦茶な人間を消し、超える事が出来れば、あの無茶苦茶になった生徒会を自分が上手く立て直せる。

 そう信じて、菫に魂を売った結末は最悪だった。

 相手の心を折る事はままならず、ただただ、彼女の人間としての心の強さを思い知らされ、ついに蒲生が折れざるを得なかった。

 

「畜生……」

 

 悔しい。

 ああ言って去る以外に、もう自分には何も出来ないという事実がとても悔しい。

 仮にあの後美咲が倒されるとしても、もうそこに自分はいない。

 自分の力で彼女を倒す事は、不可能なのだ。

 

「蒲生……」

 

 聞き覚えのある声。

 忘れもしない。

 

「何の用すか? 皆」

 

 振り向くと、美咲と成音を除く、生徒会のメンバーだった者達全員がその場に立っていた。

 ある時、菫に頼まれて誘拐した者達……。

 洗脳されているのだろう。

 全員の瞳が死んでおり、腰にはアークソードドライバーが。

 

「……こんなことに使われるなんて、思わなかったっすよ」

 

 自分に誘拐させた者達に、自分を襲わせる。

 菫が何を考えているかは知らないが、取り敢えず……用済みになったと判断されたのは事実。

 

「蒲生、排除する……」

「そうっすか。なら死んでもらうっす」

 

 全員がドライバーを操作して、その姿を怪人に変えた。

 

※※※

 

 同時刻。

 足利明人は、時々来る強烈な身体の痛みに耐えながら……〇×女子高から逃走していた。

 

「……ッ!」

 

 戸間菫に植え付けられた人格に乗っ取られた時に飲んだ薬の影響なのは言わずもがなだが、かなりの激痛だ。

 あの男は副作用に耐えながらも、この身体で戦っていたが、今の明人では到底やれそうにない。

 

「六角……美咲……」

 

 口から言葉を零す。

 今逃げて向かっているのは、六角美咲の所だ。

 つい先ほど、あの男の人格は完全に明人の身体から抜けた。

 別の身体に移動したその男を倒そうとしたが、身体の痛みで力が出せず敗北し、命からがら逃走し、今に至る。

 敵の正体を知った上で逃げた以上、命の保証はないが、確か六角美咲も敵が菫である事を知っていた筈だ。

 

「……ッ」

 

 痛みは止まらない。

 けど、美咲にもう一度会うまでは倒れられないと……明人は何とか身体に力を入れて歩き続ける。

 

《第三章 終わり》




何だかんだで一番長くなりましたが、次から第四章です。
最終フォームも登場し、物語はクライマックスへと大きく動き出します!
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