浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百四十五話

 美咲が去ってから、俺と一号は二人でマンションに向かっていた。

 俺は良いと言ったのだが、もし菫からの襲撃があったら危険だという理由でついてきている。

 距離感問題は解決し、二人並んで歩いていたが特に話す事もない。

 そろそろ久しぶりの自室に戻れる……そんな時。

 

「裕太、聞いても良いか?」

 

 一号が真顔で俺にそう声を掛けてきた。

 

「お、おう。何でも聞いて良いぞ」

 

 少しは成長したのかなと心の中で感心しつつ、どういう質問が来るのか待っていた。

 

「――お前は美咲の事が好きなのか?」

「(せき)!」

 

 予想の斜め上の質問が来てむせた。

 

「うぇっ……いやお前、確かに質問して良いとは言ったけどよ……ふざけるにしたってそりゃないぜ」

「本気だ」

「ですよね……」

 

 そんな真顔で冗談だとか言うわけねえや。

 

「俺は菫の事が好きで、その為に罪を犯した。お前が美咲と共にいるのは、そしてあの時離れようとしていたのは、美咲の事が好きだから……そうなのか?」

「いや、恋愛感情は間違っても抱いてねえよ。大体俺は年上のお姉さんが好みのタイプだし、あいつは体型良いけど所詮ガキんちょだし、性格もバブみのバの字もねえし、それに無茶苦茶で上から目線で……年上に対する礼儀もないし……。だから全っ然好きじゃねえ!」

「そうか」

 

 特に引いたりもせず、ただ一言そう告げる一号。

 

「でもよ、まあ好きっちゃ好きさ。恋愛感情とかじゃなく、ちゃんと友情的な意味でよ」

「……」

「それにあいつ、俺と会ってから俺がいねえと生徒会の仕事も一緒に出来ねえとか言い出してよ。ホントは俺がいなくても事足りる癖に……」

「確かに一応生徒会の仕事をしていたが、進みはあまり良いようには見えなかった。美咲はあの時裕太がいないから人手が足りないと言っていたが……」

「何で俺がいなくなっただけで進みが悪くなるのかまるで理解出来ない」

「……」

 

 一号が急に黙り込む。

 

「なんだよ、なんか俺おかしい事言ったか?」

「なんでもない。だが、少しばかりお前も敏感になるべきだと思っただけだ」

「は、はあ?」

 

 何を言いたいのかさっぱりよく分からん。

 

「いずれ気付ける日が来る。まあ、相手次第というのもあるだろうが」

「お、おい。それじゃよく分かんないだろ?」

 

 返答を求めてそう告げる。

 その時。

 ガシッという掴まれる感覚を、右脚に覚えた。

 

「ん? あ……」

 

 振り向くとそこには、荒い息を吐き続けて俺の脚を掴む足利明人の姿が。

 

「お前……福沢裕太……か?」

 

 明人が何とかかすれた声でそう問いかける。

 


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