浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「明人……!」
俺は咄嗟に手を伸ばそうとするが、一号に掴まれる。
「……」
「な、なんだよ」
「足利明人の中には二号がいた筈だ。罠の可能性もあるぞ」
そう言われて、手を引っ込める。
代わりに一号が近付いて、明人に告げた。
「ひとまず助けてやる。ただし、ベルトを渡してからだ」
「……」
明人は何とか身体に力を入れて、二本のベルトを渡す。
ソードドライバーと、アークソードドライバー。
「……」
それを確認してから、一号は俺に頷き。
俺は手を伸ばして、明人を立ち上げてから背負う。
「ひとまず俺の部屋に連れていこう」
「ああ」
※※※
久しぶりの自分の部屋。
今ではかなり懐かしく感じるし、今日は久々にゆっくり休めると思っていた。
勿論今回は、そんな感動を口にする時間もなく……せっせと明人を布団に寝かせ。
俺と一号で観察を続けていた。
「今のところ出てこないな」
「……ああ」
一、二時間経っても……まだ二号の人格が出てくる気配はない。
ひとまず明人の容態を何とかすべきだと、スマホを取り出す。
「取り敢えず、遥先生に連絡をとろう。まだ確か蘇我高校にいた筈」
俺は番号を入力し、遥先生に連絡を入れた。
『私だ。何の用だ?』
「実は今、俺のところに足利明人が来て。一応二号の奴が入ってる可能性があるので、俺の部屋の中で寝かせてるんですが、この苦しそうにしてるのは……」
『ああ、間違いなく蒲生も服用していた薬の副作用だろう。二号の奴も、アークソードドライバーを使っていたし、薬の効果なのは間違いない』
「取り敢えずどうすれば……」
『今から明人を蘇我高校まで運べるか?』
「運びます」
俺はそう頷く。
しかし。
「ダメだ」
苦しそうな顔をしながら、それを拒否する。
「このくらい、俺は克服してやる。そして強くなってやる……」
「無茶を言うな。蒲生も死にかけの所だったんだぞ」
一号が冷静に諭す。
「これが克服出来ないようなら、俺は六角美咲に顔向け出来ん……。大きな力を得る事には、代償がつきものだ。それを忘れるな」
明人は一号にそう反論する。
「……」
一号は黙ってしまう。
「けどお前が死んだら、美咲がどれだけ悲しむか分かるだろ!」
あの時の美咲の泣き顔を思い出す。
もう彼女にあんな思いはさせたくない――。
「分かるさ。だから……克服する」
「……!」
「俺はただのあいつの仲間でいる気はない。いつかあいつを倒す者として、強くならなければいけない」
「……お前」
「俺はあの男に乗っ取られていた時も、きちんと見ていた。あいつが新しい力を手に入れるのを……。
だから俺も強くなる。あいつが一度死んで強くなったのなら、俺も同じくらいの事をしなければあいつに負けてしまう」
明人は鋭い瞳でそう告げる。
美咲に勝るとも劣らないその気迫に、俺は圧されてしまった。