浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
俺は反論を諦めて、遥に告げる。
「すみません、彼自身に拒否されてしまいました」
『……。しかしその状態の危険性はお前も分かる筈だ。もし彼が危なそうなら、その時は無理にでも連れてくるんだ』
「分かりました」
遥が通信を切る。
※※※
「良いのかよ、足利明人を野放しにして。あいつは多分、あの薬を克服出来るだろ?」
「今は適当に泳がせておくさ。君を完成させられれば、もう負ける心配をする必要はないし……それに」
「なんだ?」
「もし彼が薬の効果を克服し、僕に襲い掛かってくるようなら……君が乗っ取っても良いんだ。違うかい?」
「おいおい。あの薬、そこそこ痛い思いしたんだからもう二度とやりたくないぜ」
二号の言葉に、菫が笑みを返す。
そして思い出したようにこう呟く。
「そうだ、時間稼ぎの準備に必要なものが完成した」
「お、どれどれ?」
「これだ」
菫が見せたのは、蘇我高校の生徒達や成音達が使う怪人変身用のベルトだ。
一見、そこまでの違いはないように見えるが……。
「使ってみてからのお楽しみ、と言いたいのか?」
「その通りだ」
「……ふっ」
二号はそう笑う。
※※※
『諸事情あって、今は裕太のマンションにいる。心配しないでくれ』
午後十時。
美咲はベッドの上でそのメッセージを確認して、一人考え込んでいた。
――次もし会う事が出来たら、何を話すべきですの?
ついさっきまで、美咲は蒲生とお互いの思いをぶつけあっていた所。
けど蒲生にうんざりと言われ、二度と戦いたくないとまで言われてしまった。
だが美咲ははっきり、相手に伝える事は出来た。
次に会う事が出来れば、今度こそ仲間になりたいと。
でも……どうすれば。何を伝えれば良いのか。
美咲には分からない。
「……」
美咲には分かる。
絶対にいつか出来る……と。
はっきりと自分の想いを伝えあい、互いを現状以上に理解し、互いの良いところも悪いところも少しでも理解出来れば、絶対にあの洗脳された蒲生とも仲間になれる。
でも問題は、方法だ。
方法が分からなければ、折角の確信も無意味となる。
届きそうな所にそれはあるのに、何故か……届かない。
まるで星のように。
『~♪』
ファイズフォン柄のカバーを着けているスマホに、着信音が入る。
通話相手は、岸本優香。
「優香さん……?」
こんな時間に何の用だろうか。
美咲は少し気になりつつも、通話開始ボタンをタップ。
耳に当ててから、美咲は告げる。
「もしもし優香さん?」
『よっ、美咲っち!』
彼女の声は、この時間帯には似つかわしくない……元気なものだった。