浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百四十八話

「どうしましたの? こんな時間に」

『こんな時間て……まだ夜十時系じゃん』

「凄く元気ですわね」

『ウチはいつだって元気系。美咲っちもそうっしょ?』

「私はそうでもないかもですわね」

『? どうした系? 体調でも悪い系?』

 

 優香が心配そうに聞いてくる。

 今悩んでる事を聞いても仕方も無い気がするし、少しだけ気になっている事を質問する事にした。

 

「優香さんは、ある日突然私や成音さん達の前に現れましたけど、なんで危険な戦いなのにまだついてこられるんですの? それも、戦う力もないのに」

『……』

「別に、足手まといだとか言うつもりはありませんのよ。けど、何となく気になるんですの。死ぬかも知れない戦いに、こうして貴女はついてきてくれる。私が死にかけていたのも、ちゃんと見ていた筈なのに」

 

 優香を心配してそう告げる美咲。

 しかし。

 

『何言ってる系! 美咲っちや、もしかしたらウチの友達が戦ってるかも知れないのに、ウチがそれを見捨てられるわけない系』

「……」

『ウチは、ただ見てる事しか出来ない系。けど……ちゃんとこの戦いから日常に戻れる事を祈るのがウチの役目だと思ってる系。だって、ウチと美咲っちは昔から友達系……そうでしょ?』

「そうですわよね」

『それに、美咲っちが死んだの……ウチ凄く辛かった系。淀っちや初っち、江代っちや和泉っち達になんていえば良いのか分からかったし、生き返らなかったらこれからずっと美咲っちがいなくなった事を引きずって生きなきゃいけないと思った系』

 

 優香は止まらず続けた。

 

『ウチは、そんな事になるのは嫌系。ウチは友達と馬鹿な事やってる時が一番楽しい系だから、この戦いが終わったら、また二年の時みたいに淀っち達と遊びたい系。それまでは、せめて戦いを見守らせて欲しい系。ウチは何も出来ないかもだけど、せめて美咲っちが折れそうな時は支える系』

『忘れちゃダメ系。美咲っちと戦った成音っちも、離れそうになった裕太っちも、成音っちや遥っちの為に一生懸命なヴィーダっちも、美咲っちのそういう真っ直ぐ突き進む姿勢が好きでついてきている系。蒲生っちも……いつかきっと美咲っちの良さを分かってくれる系』

「え?」

 

 美咲は驚く。

 蒲生の話など一度もしていないのに。

 

『ウチは美咲っちの友達系。美咲っちが他の誰かに相談出来ないのなら、ウチが相談聞く系』

「……優香さん、ありがとうございますわ」

 

 美咲も口元に笑みを浮かべる。

 

『それに、ウチも諦めてない系。ウチも出来れば、戦いに参加したい系』

「え?」

『なーんてね。でも美咲っちを支える方法は何かしら考えたい系。それだけは分かって欲しい系』

「……」

『んじゃ、そろそろ寝る系』

「はい、おやすみなさい」

『おやすみちゃん』

 

 優香が通話を切る。

 美咲はそのまま横になって、眼を閉じた。

 


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