浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「これは蘇我高校からの果たし状……そこにはこう書かれていますわ。『新しいベルトを〇×女子高の生徒に渡した』。そして明日、私をどんな手を使っても倒しに来ると書いてありましたわ」
――蘇我高校?
――嘘でしょ? あの不良達の巣窟の……。
――まさかウチに来るとかマジあり得ない。
「期待はしてませんが、この場を借りてお願いします。蘇我高校の生徒からベルトを貰った……という者がいれば、今すぐここで名乗り出なさい」
――いやいや、仮にいたとして名乗り出るの?
――無理っしょ。いくら不良の学校の連中でも、馬鹿正直に名乗り出る人なんて選ばないって。
それは俺も思った。
どうやって名乗らせる気だろうか。
「あくまで名乗り出る気はないみたいですね。なら……こんな手は使いたくありませんでしたが……」
ボマードライバーを装着し、爆弾型の端末を外す。
『BOMER DRIVE READY?』
端末を閉じてから右手を顔の左側近くまで移動させて構え、大きな声で叫ぶ。
「変身ですわ!」
端末を取り付ける。
『COMPLETE』
天から一個の紫に発光する爆弾が降り立ち、美咲はそれを右手で掴んで握り潰す。
爆風の中から、仮面ライダーボマーが現れた。
――え? 何あれ。
――生徒会長……仮面ライダーだったんだ。
――アレ玩具じゃないの!?
「さて、これでこの場の全員が私の正体が仮面ライダーだという事は分かってもらえたと思います。そして……」
ボマーは武器の金属バットで、マイクが乗った演台を真っ二つに割る。
ほぼ全員が悲鳴を上げた。
「私がライダーである以上、まず変身してしまえば暗殺は不可能ですわ。大人しく名乗り出なさい。そしたら正々堂々叩きのめしますわ」
仮面ライダーらしくない態度だなあ……ライダーオタクの癖して。
「まったく……本当に雑だね。会長」
そう声を上げる生徒の姿。
「名乗らせる為に脅す……そんなんで会長が務まるこの学校は本当に救えない」
遠目で見ていてよく分からないが、その生徒はベルトを装着した。
「……貴女でしたのね……山内(やまうち)さん」
「どうせこうでもしないと、アンタじゃ見破れないと思ったし。それに……暗殺なんてするわけがない。あたしはあくまで正々堂々とアンタのそのプライドも、自信もへし折るよ」
『FLAME THROWER DRIVE READY?』
「変身」
『COMPLETE』
上空から現れた火柱に飲み込まれる山内。
火炎放射器を模した、炎の怪人へとその姿を変えた。
「随分舐められたものですわね。でも、これで正々堂々戦えますわ」
ボマーがバットを構える。
「明日……私が証明しますわ。私が頂点に立つ器だという事を」
「自惚れないでよ。どうせアンタじゃ、あたしに勝てない」
――明日あの二人が戦うのか!
――面白そうだし見に行ってみようよ!
――賛成!
あれ、俺要らなくね?
「おい君、何してるんだこんな所で」
「あ、いや……その……」
「不審者が我が校にいます。至急来てください」
何でこうなるんだァァァァァァッ!!