浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

151 / 311
第百五十話

 

 成音は遠くから、ボマーと剣の怪人・改の戦いを観察していた。

 ボマーの動きは、もう有象無象を寄せ付けない立ち回り。

 回避を使わずにバットや腕による防御が中心のスタイルは相変わらずだが、ハイドロボマーの力はおろか、アクセルドライブなどを使わずとも、平然と戦えていた。

 剣の怪人・改の平井が完全に押されている。

 洗脳されている以上、戦闘経験がない一般人よりは強いはずだが、例えるならゲームのコンピュータを相手にしているかのように、限られたパターンで戦っていた。

 勿論同等の実力であれば、剣の怪人・改は間違いなく勝つ事が出来る。

 しかし知識と経験、そして臨機応変さが備わった今のボマーには当然ほぼ全ての攻撃が見切られている。

 

「うぇいッ!」

「かはっ……」

 

 ボマーがバットで、大きく剣の怪人・改を仰け反らせる。

 そのまま勢いよく地を蹴って、剣の怪人・改の胸部へと突きを入れた。

 大きく吹き飛ばされた剣の怪人・改は最初、壊れた機械のように倒れたが、その後すぐに……機械のような人間味のない滑らかの動きで立ち上がる……が。

 

「くぅっ……ああッ!」

 

 薬の副作用が、平井を襲う。

 腕を押さえて苦しみだし、動けずにいた。

 

「その辺にしなさいな。貴女死にますわよ」

 

 ボマーが冷静に諭すが、洗脳されている平井にその声は届かない。

 息を切らして、それでも足を前に動かして。

 

「滅ぼす事が任務。それは出来ない」

 

 機械のように感情が欠落した声……だが確かに彼女が負っている苦痛を感じられる声で、剣の怪人・改が告げる。

 苦しみながらも端末を取り出し、ボタンを押して技を発動。

 

『ARC FINAL DRIVE!』

 

 取り付けた瞬間、禍々しいオーラが剣の怪人・改を包む。

 苦しみながらも剣を握り、構える。

 

「……!」

 

 ボマーも同じく端末を取り出してボタンを押す。

 そして端末を取り付ける。

 

『FINAL DRIVE!』

 

 脚にボムビットを集結させてから飛び上がり、右足の裏を剣の怪人・改に向けてから勢いよく急降下。

 

「ライダーボムキック!」

 

 ボマーが叫びながら、剣の怪人・改へとライダーキック。

 剣の怪人・改も、痛みを訴える身体にむちかって、必殺技で受け止めようとするがボマーには通用せず、爆風で勢いよく吹き飛ばされて変身解除。

 平井は宙を舞ってから、地面へと勢いよく衝突。

 爆死したボマーが別の場所で復活し、変身を解く。

 

「くっ……ううっ! ああああッ!」

「平井!」

 

 気絶しながらも副作用で悶絶している彼女の所へ、成音が近付く。

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。