浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

152 / 311
第百五十一話

 成音は状態を確認してからすぐにスマホを取り出し、狩野遥へと連絡を入れる。

 

「遥さん、薬を飲んだ人が!」

『なんだと』

 

 遥がそう言いながらも、冷静に指示を出す。

 

『とにかくそいつを今すぐ蘇我高校まで運んでくれ』

「はい!」

 

 通信を切ってから、成音は平井を背負おうとする。

 

「待って、ウチがやる系」

 

 それを止める優香。

 

「優香?」

「優香さん?」

 

 二人がその優香を見て呟く。

 

「ウチが運ぶから、二人はこんな事をした人を探して欲しい系」

「……」

 

 成音は一号からの話で、誰がやったかを把握している。

 それは美咲も同じ。

 二人は何となく察した。

 今まで戦いに参加する気配のないものが、蒲生と違って無理矢理洗脳されている。

 という事は、もしかしたら他の生徒が被害を受けている可能性も……。

 

「嫌な予感がするわね」

 

 成音がそう呟くと、美咲がこう言葉を返す。

 

「私が行きますわ。だから成音さんは優香さんと一緒に……」

「美咲っち」

 

 優香が名を呼んでから、首を横に振る。

 意地でも一人で行く、そう言いたいのだろうか。

 

「危険だということは分かってますわよね?」

「美咲っち達の方が、もっと危険な筈系……。これくらいの危険、ウチが背負う系」

 

 執念のようなものを、優香の瞳から感じる。

 

「今回ばかりは任せるわよ」

「成音さん?」

「……良いから、行くわよ」

「わわっ、引っ張らないで欲しいですの!」

 

 美咲の腕を引っ張って歩き出す。

 どうせ止めても、美咲は応じないだろう。

 だが成音は気付いていた。

 恐らく……夜眠れなかった事と関係しているのだろう。

 聞きたい気もするが、今は起きているかも知れない問題を解決する方が先だ。

 

「ウチもウチの努めを果たす系」

 

 優香も平井を背負ってから、駆け足で蘇我高校へ向かう。

 

※※※

 

 既に登校時間は過ぎた状態。

 美咲と成音が〇×女子高に到着した時には既に、校舎内に誰もいなかった。

 普通に全校集会が始まっている、とかなら勿論問題ないのだが……。

 

「一応ベルトは着けたまま入りますわよ」

「分かってるわよ」

 

 美咲と成音は慎重に扉を開けると、そこには全校生徒の姿がある。

 案の定、そこにいる全員様子がおかしく、扉が開いた瞬間こちらを見てベルトを取り出す。

 

「やはりですわね」

「おいおい、遅刻はいけないな。六角美咲生徒会長さん……いや、六角美咲元生徒会長さんよ」

 

 美咲の前に、黒フードを着けた男が現れる。

 二号……だろうか。

 

「また貴方達の仕業ですのね!」

「ああ……そうさ」

 

 二号と思しき人物がフードを取る。

 白い髪に、赤い瞳。

 顔は福沢裕太そのものだが、完全に髪から色素が抜けていたそれは……少しばかり異質な感じを醸し出していた。

 

 

  

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。