浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百五十九話

 

「それにしても、何の為にそんな事を……」

 

 遥がそう呟きながら考える。

 

「あたしが何となく二号に、焦ってるのかどうか聞いたら動揺してたし、時間稼ぎだとも言ってたわ」

「うむ……そうか」

 

 画面に向き直ってから言う。

 

「もしかすると、これは早急に手を打つべきかも知れんな」

「と言うと?」

「オールウェポンの強化が出来る事が敵側の想定外だと仮定しても、オールウェポンと二号は一度戦っている。菫も私と同じ、高度な技術を持つ科学者だ。剣の怪人・改のベルトや人工突然変異体をあれだけの精度で作れるのを見れば分かると思うがな」

「……」

「つまり、相手もその時の戦闘データを元に何か手をうってくる筈だ。恐らくこうしている間にも、強化は進んでいる筈だ」

「それなら、早く叩く方が無難ね」

「ああ……だが強化が不十分と言いながらも、相手の突然変異体としての能力も手強い。ベルトの能力はともかく、装着者の性能まで未知数となるとな……」

 

 遥が少し頭を抱える。

 

「成音っち、頼みがある系」

「優香?」

 

 優香がいつにもなく真剣な顔で、こう頼んできた。

 

「ウチが、ウチが戦えば……戦力差を少しでも埋められない系?」

 

※※※

 

 

 優香の発言に、最初は少し驚く。

 だが返答するのは早かった。

 

「な、何言ってるのよ。優香が戦うって、そんなのどうやって?」

「手ならある系」

 

 そう言ってから続ける。

 

「ウチの家に、前田っちから借りたベルトがある系。それを使えばウチも戦える系……」

 

 その様子を見る遥。

 それに気付いた優香が、遥を見てから頷く。

 

「遥っちにも言われた系。ウチが戦わないからこそ、誰かに寄り添う事も出来るかもって。けど、やっぱりそれじゃダメ系……。時間が経てば経つ程、美咲っち達が危なくなるっていうのに、ウチが直接何も出来ないなんてダメ系」

「けど優香、アンタに誰かと戦う覚悟はあるの?」

「……」

 

 優香は俯く。

 

「それに、戦いに参加したら今までみたいにはいかなくなる。相手に命を狙われる事だってあるかも知れないのよ」

「それは皆も同じ系。なのに、ウチだけ安全な場所にいるなんて……やっぱりウチには出来ない……」

「……」

 

 成音も、見ていた遥も返す言葉に詰まってしまう。

 

「ダッタラ、ヴィーダガソノネガイテツダウ!」

「え?」

 

 優香がヴィーダを見る。

 

「ユウカノキモチ、ヴィーダニモツタワッタ。ユウカモタタカウナラ、ヴィーダガソレテツダウ!」

「ヴィーダっち、良い系?」

「ウン! ユウカ、トモダチ。トモダチガトモダチマモルノ……アタリマエケイ!」

 

 優香の喋り方を少しばかり真似して、ヴィーダが笑顔で言う。

 

「ありがとう系」

 

 優香は感謝する。

 

「やっぱりウチも戦う。皆の力になる為に」

「本当に良いのね?」

 

 成音の問いかけに、優香は迷わず答える。

 

「うん」

「分かった……だけど、無理はしないでね。本当に無理なら、あたしやヴィーダに任せて逃げなさい」

「分かってる系」

 

 調子よく答える優香。

 

 

 

 


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