浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百六十二話

 

 幸い菫側の襲撃を受ける事なく、美咲は何とか裕太の部屋まで帰還。

 手を洗うや否や、すぐに料理を開始。

 

「お前料理出来たんだな」

 

 一号が意外そうな顔でこちらを見る。

 

「当たり前ですわ。女の嗜みですもの」

 

 手際よく材料を切り終えてから、次の工程へ。

 

「何か手伝う事はあるか?」

「では一緒に豆腐を切って欲しいですの」

 

 頼まれた一号が、パックに入った豆腐を手の上へ。

 

「……」

 

 美咲がやっていたように、左手の上にある豆腐を切ろうとするが……。

 

「あ……」

 

 左手の力加減が上手くいかず、豆腐が崩壊。

 

「え?」

 

 美咲が目を丸くして、一号の様子を見る。

 

「すまん……俺には難しいようだ」

「さては貴方氷川さん並みの不器用ですの?」

「……」

 

 一号はバツが悪そうな顔で、目を背けた。

 

※※※

 

 同時刻。

 蘇我高校の体育館。

 

「じゃあ、特訓を始めるわよ優香」

「なんか改めてこの場に立つと緊張する系……」

 

 ホースドライバーを家から持ってきた優香が、成音と相対していた。

 次の日の攻め込みに備えて、一夜漬けではあるが、戦闘訓練をすることになった。

 

「取り敢えず、まずは変身ね」

「えーっと、こう系?」

 

 優香はまずベルトから馬型の端末を取り出す。

 

「それでこう?」

『HORSE DRIVE READY?』

 

 音声の後、優香は端末を閉じて構える。

 

「へ、変身系!」

 

 端末をベルトに取り付けた。

 

『COMPLETE』

 

 背後から走ってくる実体のない馬の上に、優香はジャンプして座る。

 その姿を騎兵に変えた優香が、手探りではあるが、まずはそれっぽく構えてみた。

 

「で、出来た系」

「そこまでは大丈夫みたいね。変身」

『COMPLETE』

 

 成音も火炎放射器怪人へ。

 

「それじゃ、いくわよ」

「おっ、おっす!」

 

 まずは火炎放射器怪人が背中のブースターを使って、騎兵怪人へと突撃。

 

「えっ、いきなり系? えーっと、えーっと!」

 

 騎兵怪人は動揺しながら、咄嗟に回避。

 しかし動きを読まれ、火炎放射器怪人に拳を叩きつけられる。

 

「い、いたい系……」

「ダメよそれじゃあ、相手に動きを読まれるわよ」

「攻撃を避けるって意外と難しい系……」

 

 攻撃を避けるくらいなら、と思っていたが……それは大きな間違いだったらしい。

 

「相手に読まれているか読まれてないかで、生きるか死ぬか決まる時もあるのよ。よく考えて戦いなさい」

「わ、分かった系!」

 

 騎兵怪人は立ち上がる。

 

「次は優香からかかってきなさい」

「いく系! うおおおおおッ!」

 

 騎兵の速さを活かした動きで、火炎放射器怪人との距離を詰める。

 剣を構え、火炎放射器怪人の胴体目掛けて振ろうとするが……。

 

「……!」

 

 優香は、そこで少し躊躇。

 その隙をついた火炎放射器怪人に、無慈悲にも反撃されてしまい、大きく吹き飛ばされた。

 

 


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