浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百六十三話

 

「うわあッ!」

 

 騎兵怪人は吹き飛ばされた勢いで変身解除し、優香の姿へ。

 

「……」

 

 火炎放射器怪人も変身解除ボタンを押して変身を解き、優香に近付く。

 

「やっぱり躊躇したわね」

「ば、バレた系?」

「ええ」

「ごめん系……」

 

 優香は少し俯いて答える。

 

「優香、今回は訓練だけど……相手はアンタみたいに優しい人ばかりじゃない。相手によっては命を奪われる事だってあるのよ」

 

 成音が厳しくそう告げた。

 

「……」

「とにかく、今のままじゃ一緒に戦うのは難しいわね」

「成音っち」

「?」

 

 優香が立ち上がりながら言う。

 

「ウチ、まだ諦めない系。ウチは誰かを傷付けるなんてしたくないけど、けど皆にだけそんな事させたくない系……だからまだ付き合ってくれる系?」

「優香……」

 

 成音はもう一度優香に向き直る。

 

「分かったわ」

 

 そう告げてから、端末を取り出す。

 

※※※

 

 一時間が過ぎ。

優香は少しずつ精度を上げて、成音に攻撃を当てられるようになっていた。

 

「いく系!」

 

 端末のボタンをクリック。

 

『FINAL DRIVE!』

 

 騎兵怪人が端末をベルトに取り付ける。

 馬が後ろ足を何度か擦ってから、火炎放射器怪人目掛けて突進。

 馬の頭部に光が発生した。

 

「はあっ!」

 

 火炎放射器怪人は咄嗟に躱す。

 

「……!」

 

 騎兵怪人はそれに気付きながらも真っ直ぐ進み、少ししてから止まる。

 必殺技が終わってから、互いに変身を解く。

 

「ま、また避けられた系……」

「そうね。けど、中々よくなってたわよ」

 

 成音が優香にそう告げる。

 

「そ、そう系?」

「もう少し躊躇が無くなって、精度を上げれば戦力になれるわ」

「が、頑張る系」

 

 成音がスマホを取り出して時間を見た。

 

「そろそろ休憩しよっか。あたしが夕飯の買い物行くわ」

「お、何か買ってくる系?」

 

 優香が眼を光らせて言う。

 

「流石に調理する場所とか借りられないから総菜買う事になるけどね。何がいい?」

「ウチフライが食べたい系」

「へー、ギャルでも結構油ものとか食べたりするの?」

「いや、別に全員食べないわけじゃない系……」

「ほら、体型維持の為とか言いそうかなって」

「ウチは食事制限とかあまりしない系」

「そ、そうなのね」

 

※※※

 

 そんな会話を交わしてから、成音はヴィーダや遥にもリクエストを聞きに行く。

 

「ヴィーダ、ハンバーグタベタイ」

「ハンバーグね。遥さんは?」

「ア〇ヒスーパードライ」

「え……酒飲むの?」

「ああ。多少酒入ってた方が、なんか集中出来るんだ」

「そういうタイプか……」

 

 成音は遥の意外な面を知りながらもメモ。

 

「取り敢えず行ってくるわね」

「ああ、あと念のため平井にも何か買ってやれ」

「そうね。じゃあ行くわ」

 

 そう告げて部室をあとにする。

 

 


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