浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
勿論警察も駆け付けたが、黒フードの女の逃げ足の速さに追いつける者はおらず。
代わりに成音が追いかけ続け、追手が見えなくなった辺りで黒フードが足を止める。
「さあ、もう逃げられないわよ」
「それはこっちの台詞っすよ、山内ちゃん」
黒フードが顔を晒す。
正体は……。
「副会長……?」
遥に治療を受けてから姿を消した、〇×女子高生徒会副会長の蒲生だ。
蒲生はベルトを腰につけてから言う。
「山内ちゃん、悪いけど大人しくついてくるっす」
「それはこっちの台詞よ。万引きなんてして……」
「仕方ないっしょ。今の生徒達見りゃ分かると思うけど、私と山内ちゃんと美咲……今標的にされてる。家にいたらいつ狙われるか分からないし、外で逃げ回りながら生きるしかないんすよ。まあ、それはさておいて、今から私と一緒にくるっす」
「だから、いかないってば」
「悪いけど、山内ちゃんに拒否権はないっす……変身」
蒲生がガス怪人へと姿を変えてから、成音がベルトを取り出す暇も与えずに拳を腹に叩きつける。
「くっ……」
成音はガス怪人の前で崩れ落ち、ガス怪人に抱えられた。
「捕獲完了っす」
時間差で追ってきた警察に対しても、ガスの放射口を向ける。
「痛い目見たくなきゃ、ここから去るっす」
「撃て!」
警官たちが銃を発射するが、ガス怪人は全て吹き飛ばす。
「こっちには人質がいるってのに、野蛮な警察っすね」
蒲生はニヤリと笑みを浮かべてから、ガスチェンジ。
『ガスドライブ! スイミン! ネムール!』
催眠ガスを放射し、吹き飛ばされて仰向けに倒れる警官たちを眠らせてから逃走。
「ま、こんなもんすか」
※※※
食べ終わってからすぐに、美咲と裕太は二人とも眠りにつき。
元々眠りの浅い一号は目を開けて、身体を壁に預けていた。
一号だけでなく、足利明人もまだ目を開けている。
彼に聞こうとしていた事を思い出し、一号は明人に問いかけた。
「足利明人、お前に聞きたい事がある」
「……なんだ?」
明人は一号を見た時も、何の反応も示さなかった。
明人にそれほどの余裕が無かったのか、あるいは……そう思って告げる。
「お前は俺が、あの時対峙した黒フードの男だと気付いているのか?」
「……気付いていた。お前の声や仕草で分かる。どういう経緯で仲間になったのかまでは知らんが、お前があの黒フードなのは間違いないと思った」
明人は静かな声でそう答える。
「なら何故、俺とそう落ち着いて会話が出来る? その態度はどう考えても普通ではない……」
「馬鹿者。あの時のお前など恨むに値しない」