浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百六十六話

「俺が敵と認めるのは、何に恐れる事もなく真っ直ぐに生きる事が出来る者だけだ。あの時のお前にそれ程の価値はなかった」

「……そうか」

 

 一号は下を向いた。

 

「今のお前はどうなんだ?」

「……」

「自分の意思で、何かを決めて戦う事が出来るのか?」

「自信を持って答える事は出来ない。だが、今美咲や裕太の為に戦っているのは自分の意思だ。もう二度と、こいつらに涙を流させない。それがこの二人の命を一度奪った俺に出来る贖罪……」

「……」

 

 明人がそれを聞き終えてから言う。

 

「それでは、まだ足りんな」

「……」

「六角美咲を見てみろ」

 

 そう言われて、裕太と二人で眠る美咲の姿を見る。

 

「あいつは義務感に駆られて戦っていない。どんな戦いでも、積極的に自分から突っ込んでいく。それが例え、自分の関わるべきでない戦いであろうとな。他者と戦う事に関して積極的だからこそ、俺はあいつを好敵手と認めているし、俺も自分が強くなる為ならどんな事でもしたい」

 

 美咲のそんな行動に、一号は何度も救われた。

 正義の為に行動していないからこそ、そもそも美咲自身は一号に対して恨みは抱いていなかったし、むしろ本気の自分と戦う為に敵である自分を本気で助けようとしていた。

 そしてだからこそ他人を頼る事を厭い続け、誰よりも傷付く。

 そんな彼女を放っておかず、または超える為に、様々な理由で彼女の近くには人が集まる。

 

「……俺は」

「お前にもある筈だ。誰かや状況に課せられた義務ではなく、自分で望んで戦う理由が」

「……ああ」

 

 忘れてなどいない。

 忘れるわけがない。

 一号が美咲と共に戦うのは、美咲が絶対に菫を変えると約束してくれたから。

 

「俺は菫といたい。それに協力してくれると言った美咲の仲間になった。だが……」

 

 罪のある自分が、そんな理由で戦う事など許されないと、美咲以外の前ではそういう素振りをなるべく見せないようにしている。

 

「罪程度、俺にもある。数えきれない程な。だが俺はそれでも戦い続ける事を望む。やめたとて、どうせ消えはしないのだからな」

 

 明人のその姿を見て、一号は気付く。

 心の底は一号と同じだと。

 でも……もし違いがあるとしたら、罪に対する向き合い方だろうか。

 

「……」

「もし俺に強さを認められたいなら、その気持ちを強くしてから俺と戦うんだな。とにかく、今のお前では……俺に好敵手として認めてもらうなど夢のまた夢だ」

 

 厳しい言葉をぶつけてから、明人はそのまま目を閉じる。

 

「……」

 

 一号も目を閉じてから、眠りにつく。

 が……。

 

「げほっ……」

 

 突然、そう咳込んで一号は目を覚ました。

 最初に咳込んでから止まる事なくそれが続き、手で押さえる。

 喉の痛みと、口の中の違和感に気付き、押さえた手をもう一度見た。

 そこには……。

 

「……!」

 

 自分が吐き出したと思しき血がついていた。

 

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