浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
科学部部室。
「ナリネ……オソイ……」
ヴィーダが先に敷いていたお布団の上で、ひもじい顔をして呟く。
お使いを頼んで数時間が経ち、夜十時近くになるが、未だに成音は帰ってこない。
連絡すら来ない。
「ウチも腹減った系……」
優香も某漫画で爆死したヘタレのポーズで倒れている。
腹の音が喧しく響き続けているのが聞こえる。
遥も黙々と作業を続けていたが、集中力が切れてきている。
遥の身体もそろそろアルコールを欲している頃なのだろう。
「一応電話してみるか」
痺れを切らして、遥がスマホを取り出す。
電話帳を開いて、成音の番号に電話を掛けると……出て来たのは意外な相手だった。
『狩野遥っすか? 久しぶりっすね』
「……お前は」
通話に出た相手は蒲生。
相変わらずの態度で電話に出てくる。
まさか蒲生が誘拐したというのか。
「お前が誘拐したのか?」
『そこまで心配しなくても、山内ちゃんならこっちで眠ってるだけっすよ。起きたらそのまま行かせるんでよろしくっす』
軽い口調でそう告げる蒲生。
しかし遥は油断せずに問い返す。
「何か企んでいる……という事はないな? お前の洗脳は私では解けなかった。未だに菫の配下として行動していてもおかしくはない筈だ」
蒲生は少々げんなりした声で答えてきた。
『正確にはさっきまで……というのが正しいっす。なんせガスドライバーの洗脳能力が効果なかったんすよ』
「……」
それなら遥も信用出来なくはない。
ガスドライバーの洗脳機能はあくまで、ドライバーを使わず怪人化した者を脳を犯しているガスを操る事で、コントロール出来るようにするもの。
故にガスに犯されていない普通の人間を洗脳する事は不可能だ。
『悪いっすね。こっちも追われてる身なんすよ。ま、もう出来ればアンタ達や菫達に関わりたくないんで、適当に倒しちゃって欲しいっす。そんじゃ』
通話を切ろうとする蒲生。
「待て」
『なんすか?』
それならば、と遥が言う。
「もしその言葉を信用して欲しいなら、お前の持つガスドライバーを渡してくれ。それがあれば、大きな戦力になる」
しかし……。
『何の為に使うか、想像するのは簡単っすよ。どうせ、美咲の為に使うんすよね?』
真意を突かれて、遥は少しばかり弱る。
「……」
『断るっす。菫に狙われている以上護身用にベルトが必要だし、わざわざ敵に塩送るような真似したくないっす』
蒲生は拒否した。
『用はそれだけっすよね? まあ、せいぜい頑張ってくださいっす』
そのまま通話が切れた。