浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百六十八話

 

 科学部部室。

 

「ナリネ……オソイ……」

 

 ヴィーダが先に敷いていたお布団の上で、ひもじい顔をして呟く。

 お使いを頼んで数時間が経ち、夜十時近くになるが、未だに成音は帰ってこない。

 連絡すら来ない。

 

「ウチも腹減った系……」

 

 優香も某漫画で爆死したヘタレのポーズで倒れている。

 腹の音が喧しく響き続けているのが聞こえる。

 遥も黙々と作業を続けていたが、集中力が切れてきている。

 遥の身体もそろそろアルコールを欲している頃なのだろう。

 

「一応電話してみるか」

 

 痺れを切らして、遥がスマホを取り出す。

 電話帳を開いて、成音の番号に電話を掛けると……出て来たのは意外な相手だった。

 

『狩野遥っすか? 久しぶりっすね』

「……お前は」

 

 通話に出た相手は蒲生。

 相変わらずの態度で電話に出てくる。

 まさか蒲生が誘拐したというのか。

 

「お前が誘拐したのか?」

『そこまで心配しなくても、山内ちゃんならこっちで眠ってるだけっすよ。起きたらそのまま行かせるんでよろしくっす』

 

 軽い口調でそう告げる蒲生。

 しかし遥は油断せずに問い返す。

 

「何か企んでいる……という事はないな? お前の洗脳は私では解けなかった。未だに菫の配下として行動していてもおかしくはない筈だ」

 

 蒲生は少々げんなりした声で答えてきた。

 

『正確にはさっきまで……というのが正しいっす。なんせガスドライバーの洗脳能力が効果なかったんすよ』

「……」

 

 それなら遥も信用出来なくはない。

 ガスドライバーの洗脳機能はあくまで、ドライバーを使わず怪人化した者を脳を犯しているガスを操る事で、コントロール出来るようにするもの。

 故にガスに犯されていない普通の人間を洗脳する事は不可能だ。

 

『悪いっすね。こっちも追われてる身なんすよ。ま、もう出来ればアンタ達や菫達に関わりたくないんで、適当に倒しちゃって欲しいっす。そんじゃ』

 

 通話を切ろうとする蒲生。

 

「待て」

『なんすか?』

 

 それならば、と遥が言う。

 

「もしその言葉を信用して欲しいなら、お前の持つガスドライバーを渡してくれ。それがあれば、大きな戦力になる」

 

 しかし……。

 

『何の為に使うか、想像するのは簡単っすよ。どうせ、美咲の為に使うんすよね?』

 

 真意を突かれて、遥は少しばかり弱る。

 

「……」

『断るっす。菫に狙われている以上護身用にベルトが必要だし、わざわざ敵に塩送るような真似したくないっす』

 

 蒲生は拒否した。

 

『用はそれだけっすよね? まあ、せいぜい頑張ってくださいっす』

 

 そのまま通話が切れた。

 

 

 

 

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