浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

17 / 311
第十六話

 

 かくしてルール無用、先に倒れた方が負けのタイマンがスタートした。

 

「先手必勝ですわ!」

 

 バットを構えたボマーが、火炎放射器怪人に向かって全速力で駆け出す。

 金属バットを大きく振りかぶり、そのまま脳天に向かって。

 

「……」

 

 怪人には間一髪で躱される。

 ベルトの能力もあるかも知れないが、何というか勘で回避された感がある。

 

「あたしは多分、アンタに力勝負じゃ勝てない。でも、アンタを一か月ずっと見てきた。あたしはアンタのやりそうな事なら見通せる……」

「たった一発避けた程度で……よくそこまでイキれますわね」

 

 すかさず第二撃。

 しかし……彼女の言う通り攻撃は躱されてしまう。

 

「攻撃を当てる必要なんてない。それ以外でも倒す方法はある」

 

 火炎放射器の怪人はフィールドから、サッカーゴールの上へと飛ぶ。

 確かに場外負けのルールはないが、敵前逃亡ともとれる行動。

 それも背中のブースターの影響で、ジェットエンジン並みの速度を出している。

 

「なるほど……私が疲労したその時に叩くって事ですの? 上等ですわ!」

 

 ボマーは火炎放射器怪人を追いかける。

 ただいくらボマーでも、あの速度は……。

 

「まだ使ってなかった機能……試させてもらいますわ」

 

 端末を取り出し、あるボタンをクリック。

 端末から音声が流れる。

 

『ACCELERATE DRIVE』

 

 加速……を意味する単語。

 名の通り、ボマーの動きが、あの火炎放射器怪人とほぼ同等に。

 眼にも止まらぬ……という程ではないかもだが、それでも車なんかより全然速い。

 

「これならどうです?」

 

 心なしか、加速出来る事が凄く嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。

 

「やるね……でもこちらにはこれがある」

 

 飛行し始める火炎放射器怪人。

 だがボマーには強力な飛び道具がある。

 

「ボムビット!」

 

 ボマーの意思のまま、何もない所から彼女の背中に、ダイナマイト型のビットが出現する。

 複雑な軌道を描き、火炎放射器怪人へと飛んでいく。

 

「……」

 

 それも読まれていた。

 火炎放射器怪人は両手から炎を生み出し、ボムビットを跡形もなく消し去ってしまう。

 

「あ……当たりませんの」

「何度も言わせないで。あたしはアンタのやりそうな事は分かる。蘇我高校の連中も、それが分かっててあたしにやらせた筈」

「ぐぬぬ……」

 

 そうこうしているうちに、頼みの綱のアクセラレートも終了してしまう。

 

『ACCELE END』

 

 ボマーは加速した世界から引き離される。

 

「しまった……」

「切り札をそう簡単に使うなんて、何も考えてないのが見え見えね」

 

 ボマーの図星を指す火炎放射器怪人。

 これで終わりだと言わんばかりに、火炎放射器怪人は右掌に巨大な炎の弾を生成する。

 

「消し飛ばしてやる……」

「あ、あれはまずい……」

 

 流石に止めないと!

 

「山内、そんな事をしたら俺達に当たる!」

 

 黒子衣装なのも忘れて、俺は大声で叫ぶ。

 

「だから何? 見学者が勝負に口出ししないで!」

 

 余った左手で火の弾を生成し、俺に投げつける。

 

「ぐあっ!」

 

 上着が焦げる。

 俺は脱ぎ捨てて、何とか止めようと走り出す……が。

 

「やめなさい、裕太さん」

 

 ボマーが止める。

 

「美咲……」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。