浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
かくしてルール無用、先に倒れた方が負けのタイマンがスタートした。
「先手必勝ですわ!」
バットを構えたボマーが、火炎放射器怪人に向かって全速力で駆け出す。
金属バットを大きく振りかぶり、そのまま脳天に向かって。
「……」
怪人には間一髪で躱される。
ベルトの能力もあるかも知れないが、何というか勘で回避された感がある。
「あたしは多分、アンタに力勝負じゃ勝てない。でも、アンタを一か月ずっと見てきた。あたしはアンタのやりそうな事なら見通せる……」
「たった一発避けた程度で……よくそこまでイキれますわね」
すかさず第二撃。
しかし……彼女の言う通り攻撃は躱されてしまう。
「攻撃を当てる必要なんてない。それ以外でも倒す方法はある」
火炎放射器の怪人はフィールドから、サッカーゴールの上へと飛ぶ。
確かに場外負けのルールはないが、敵前逃亡ともとれる行動。
それも背中のブースターの影響で、ジェットエンジン並みの速度を出している。
「なるほど……私が疲労したその時に叩くって事ですの? 上等ですわ!」
ボマーは火炎放射器怪人を追いかける。
ただいくらボマーでも、あの速度は……。
「まだ使ってなかった機能……試させてもらいますわ」
端末を取り出し、あるボタンをクリック。
端末から音声が流れる。
『ACCELERATE DRIVE』
加速……を意味する単語。
名の通り、ボマーの動きが、あの火炎放射器怪人とほぼ同等に。
眼にも止まらぬ……という程ではないかもだが、それでも車なんかより全然速い。
「これならどうです?」
心なしか、加速出来る事が凄く嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
「やるね……でもこちらにはこれがある」
飛行し始める火炎放射器怪人。
だがボマーには強力な飛び道具がある。
「ボムビット!」
ボマーの意思のまま、何もない所から彼女の背中に、ダイナマイト型のビットが出現する。
複雑な軌道を描き、火炎放射器怪人へと飛んでいく。
「……」
それも読まれていた。
火炎放射器怪人は両手から炎を生み出し、ボムビットを跡形もなく消し去ってしまう。
「あ……当たりませんの」
「何度も言わせないで。あたしはアンタのやりそうな事は分かる。蘇我高校の連中も、それが分かっててあたしにやらせた筈」
「ぐぬぬ……」
そうこうしているうちに、頼みの綱のアクセラレートも終了してしまう。
『ACCELE END』
ボマーは加速した世界から引き離される。
「しまった……」
「切り札をそう簡単に使うなんて、何も考えてないのが見え見えね」
ボマーの図星を指す火炎放射器怪人。
これで終わりだと言わんばかりに、火炎放射器怪人は右掌に巨大な炎の弾を生成する。
「消し飛ばしてやる……」
「あ、あれはまずい……」
流石に止めないと!
「山内、そんな事をしたら俺達に当たる!」
黒子衣装なのも忘れて、俺は大声で叫ぶ。
「だから何? 見学者が勝負に口出ししないで!」
余った左手で火の弾を生成し、俺に投げつける。
「ぐあっ!」
上着が焦げる。
俺は脱ぎ捨てて、何とか止めようと走り出す……が。
「やめなさい、裕太さん」
ボマーが止める。
「美咲……」