浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「……」
身体を乗っ取られた生徒達が、変身前からまるでゾンビのようにゆっくりとこちらに迫る。
「皆さん、準備はよろしいですわね?」
ボマーがバットを手に、そう告げる。
全員が頷いたのを確認してから、相手が怪人化するのを待つ。
「……」
生徒達が立ち止まってから一斉に怪人の姿へ。
「行きますわよ!」
ボマーがそう告げてから、四人で怪人達へと向かっていく。
怪人達もゆっくりと四人に向かう。
※※※
「ぐあッ!」
火炎放射器怪人は、剣の怪人・改の集団に苦戦していた。
「……!」
火炎放射器怪人もボマー並みに戦闘経験は豊富だが、量産型かつ無理矢理洗脳された生徒達が扱う剣の怪人・改の数の多さをカバー出来る程ではない。
雑な量産をされたものとは言え、流石にフレイムシャワードライバーの性能でこの数を相手するのは無理だ。
「山内成音……排除……くっ……」
度重なる薬の服用で、かなりの負荷が掛かっている後藤が剣を向ける。
あまりの辛さに剣を落とすが、無理矢理力を込めて剣を取ろうと動く。
「もうやめなさいよ!」
火炎放射器怪人が後藤に叫ぶ。
しかし後藤に声が届く事はない。
「はい……じょ……」
その時。
「うわあッ!」
剣の怪人・改が、急に吹いた突風で吹き飛ばされる。
自然の風ではない……あれは。
「まったく……うるさいんすよアンタ達」
ガス怪人へと姿を変えていた蒲生が、あくびをしながらそう告げる。
「副会長!」
「うるさくて眠れやしないんすよ。喧嘩なら私を巻き込むんじゃないっすよ」
ガス怪人が剣の怪人・改の一人を殴り飛ばす。
ラフな戦い方で一人を圧倒し、地面へと叩きつける。
「はあ……そろそろ家に帰らせてもらうっすよ」
「蒲生……排除……」
「違うっすよ。排除されんのはアンタらの方っす」
地を蹴って、ガス怪人は他の剣の怪人・改へと立ち向かう。
※※※
ライダーが三人いるという事もあり、昨日よりも早く怪人達を倒せていた。
「いきますわよ! ライダーボムキック!」
残り少ない敵に向かって、初のトリプルライダーキックを決める。
敵はボウリングのピンのように四方八方へ飛び、人間の姿へと戻った。
「す、すごい系……」
騎兵怪人に変身した優香も、ヴィーダに力を借りながらも何とか少しずつ戦っていたが。
「ひゃっ!」
「ユウカ!」
まだ自分一人で倒せた敵がいない。
「ダイジョウブ?」
「ありがと系……」
騎兵怪人は自分の目の前で、グングニルに倒された生徒の姿を見て目を見開く。
「海北(かいほう)っち……」
自分の友人だ。
今自分に襲い掛かって来た相手の中には、自分の友人だった者もいると、この時やっと自覚させられた。
「……許せない系!」
そう呟いた後、ゲームのボスのように……現れる。
白い髪に黒いスーツを着た、福沢裕太に瓜二つの顔をした男。