浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百七十二話

 

「……」

 

 身体を乗っ取られた生徒達が、変身前からまるでゾンビのようにゆっくりとこちらに迫る。

 

「皆さん、準備はよろしいですわね?」

 

 ボマーがバットを手に、そう告げる。

 全員が頷いたのを確認してから、相手が怪人化するのを待つ。

 

「……」

 

 生徒達が立ち止まってから一斉に怪人の姿へ。

 

「行きますわよ!」

 

 ボマーがそう告げてから、四人で怪人達へと向かっていく。

 怪人達もゆっくりと四人に向かう。

 

※※※

 

「ぐあッ!」

 

 火炎放射器怪人は、剣の怪人・改の集団に苦戦していた。

 

「……!」

 

 火炎放射器怪人もボマー並みに戦闘経験は豊富だが、量産型かつ無理矢理洗脳された生徒達が扱う剣の怪人・改の数の多さをカバー出来る程ではない。

 雑な量産をされたものとは言え、流石にフレイムシャワードライバーの性能でこの数を相手するのは無理だ。

 

「山内成音……排除……くっ……」

 

 度重なる薬の服用で、かなりの負荷が掛かっている後藤が剣を向ける。

 あまりの辛さに剣を落とすが、無理矢理力を込めて剣を取ろうと動く。

 

「もうやめなさいよ!」

 

 火炎放射器怪人が後藤に叫ぶ。

 しかし後藤に声が届く事はない。

 

「はい……じょ……」

 

 その時。

 

「うわあッ!」

 

 剣の怪人・改が、急に吹いた突風で吹き飛ばされる。

 自然の風ではない……あれは。

 

「まったく……うるさいんすよアンタ達」

 

 ガス怪人へと姿を変えていた蒲生が、あくびをしながらそう告げる。

 

「副会長!」

「うるさくて眠れやしないんすよ。喧嘩なら私を巻き込むんじゃないっすよ」

 

 ガス怪人が剣の怪人・改の一人を殴り飛ばす。

 ラフな戦い方で一人を圧倒し、地面へと叩きつける。

 

「はあ……そろそろ家に帰らせてもらうっすよ」

「蒲生……排除……」

「違うっすよ。排除されんのはアンタらの方っす」

 

 地を蹴って、ガス怪人は他の剣の怪人・改へと立ち向かう。

 

※※※

 

 ライダーが三人いるという事もあり、昨日よりも早く怪人達を倒せていた。

 

「いきますわよ! ライダーボムキック!」

 

 残り少ない敵に向かって、初のトリプルライダーキックを決める。

 敵はボウリングのピンのように四方八方へ飛び、人間の姿へと戻った。

 

「す、すごい系……」

 

 騎兵怪人に変身した優香も、ヴィーダに力を借りながらも何とか少しずつ戦っていたが。

 

「ひゃっ!」

「ユウカ!」

 

 まだ自分一人で倒せた敵がいない。

 

「ダイジョウブ?」

「ありがと系……」

 

 騎兵怪人は自分の目の前で、グングニルに倒された生徒の姿を見て目を見開く。

 

「海北(かいほう)っち……」

 

 自分の友人だ。

 今自分に襲い掛かって来た相手の中には、自分の友人だった者もいると、この時やっと自覚させられた。

 

「……許せない系!」

 

 そう呟いた後、ゲームのボスのように……現れる。

 白い髪に黒いスーツを着た、福沢裕太に瓜二つの顔をした男。

 

 


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