浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百七十三話

 二号は手をパチパチと叩きながら言う。

 

「すごいすごい、いない奴もいるみてえだけど、ライダーだけは全員揃ってやがる」

「今度は逃がしませんわよ」

 

 ボマーが懐から、オールウェポンと書かれたカードを取り出す。

 

「まあまあそう焦るなよ。まだお前らに俺の変身、見せてないだろ?」

 

 どこからか、黒いボマードライバーを取り出して装着。

 端末を取り出し、ボタンを押す。

 

『BOMER DRIVE READY?』

 

 ボマーが持つボマードライバーのそれよりも、少し重い音声と効果音が鳴ってから端末を閉じ。

 

「変身」

 

 悪い笑みを浮かべてから、端末をベルトに取り付ける。

 

『COMPLETE……』

 

 ボマーと同じように、上から一つの爆弾が降りてくる。

 ただしボマーとは違う黒い爆弾。

 二号はそれを掴み取ってから、ゆっくりと握り潰す。

 黒い爆風をまき散らし、そこから一人の戦士が姿を現した。

 

「……」

 

 黒いボマー……仮面ライダーアトミック。

 ボマーを全体的に黒いカラーリングにした姿に、二本の光剣。

 そして、背後に控えるボマーよりも多い十二本の黒いボムビット。

 彼は光剣を構えてから、静かに呟く。

 

「さあ……派手に行こうぜ」

 

 ボマーもそれを見届けてから、改めて端末を取り出す。

 

「望む所ですわ」

『SCAN DRIVE』

 

 オールウェポンカードを読み取るボマー。

 

『ALL WEAPON DRIVE READY?』

 

 ボマーは構えてから叫ぶ。

 

「ハイパー超変身ですわ!」

 

 青い炎がボマーを包み、オールウェポンボマーへとその姿を変える。

 青いスーツの下に、ピチピチのライダースーツを纏った、女社長のようにも、不良社員のようにも見えるその姿。

 仮面ライダーオールウェポンボマーが、黄金のバットを構える。

 

「……!」

 

 両者共に駆け出そうとしたその時。

 優香……騎兵怪人が間に入ってアトミックに叫ぶ。

 

「なんで系……」

「あ?」

「なんで、そんな簡単に人の事を傷付けられる系?」

「……」

「ウチ分かんない系。ウチの友達あんなにしておいて、どうしてそんな平気でいられる系? 君には人の心がない系!?」

 

 アトミックは笑う。

 

「くく……ははは……」

「何がおかしい系?」

「そんな事知るかよ。傷つけたっつっても、俺がやったのはあくまで人工脳波をこいつらに植え付けてそれに操らせただけ。俺が直接手を下したわけじゃないし、悪いのは全部俺に指示してる奴だから」

「今回の事だけじゃない系。その前にも、人に人を殺させたり、ウチ……分かんない系。なんでそんな事、平然と出来る系?」

「はあ……」

 

 溜め息を漏らしてから、口を開く。

 

「お前……ウザいな。ひょっとしてさ、今まで何かを犠牲にして目標を叶えようとした事が一度もないとか……そういう事言わねえよな?」

 


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