浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百七十五話

 成音に代わって、剣の怪人・改数人相手に立ち回るガス怪人。

 成音以上の戦闘スキルで、ベルトの性能が違い過ぎる彼女らとある程度互角に渡り合う。

 

「やっぱり……」

 

 凄い、その一言に尽きる。

 美咲と戦う事から逃げた彼女ではあるが、それでもそれまで美咲を倒す為に、相応の負荷を自分に掛けていた。

 時には自分のプライドを捨ててまで。

 実際、蒲生は美咲に勝てていないが、逆に成音は蒲生に勝てない。

 彼女は美咲に勝てていないし、美咲に勝つ為には今一つ足りない感性の持ち主だが、それでも美咲を否定しようと必死だった者が、雑な洗脳をされた者に大きな後れを取ることなどないのだ。

 

「……あーあ、こんな事させられるって分かってたらやんなかったっすよ。めんどくせえな!」

 

 剣の怪人・改の一人を蹴っ飛ばして言う。

 腹に重い一撃を喰らったそれはその場で崩れ落ち、更に顔面へと追い打ちを掛けた。

 

「はぁ……」

「排除……排除……」

「アンタしつこいっすね。いい加減倒れるっす」

 

 ガス攻撃で吹き飛ばすガス怪人。

 

「……ッ!」

 

 成音はもう一度ドライバーを操作。

 

『FLAME SHOWER DRIVE READY?』

「変身ッ!」

『COMPLETE』

 

 火炎放射器怪人となって、剣の怪人・改の一体へとタックルしていく。

 

「はあッ!」

「くっ……」

 

 剣の怪人・改はそのまま地面へと叩きつけられた。

 

「手伝ってくれるんすか?」

「手伝いなんてしてない。あたしも戦わなきゃ、アンタと同じになっちゃうって思っただけよ」

「どういう意味っすかそれは」

「あたしはアンタとは違う。アンタより弱いけど、あたしはアンタと違って自分の敵からは逃げない。まずそれが出来なきゃ、会長に勝てるわけがない!」

「あんなしつこい奴に勝とうとか、頭お花畑っすか?」

「じゃああんな無茶苦茶な人に負けたままで、アンタは悔しくないの? 洗脳までされて、捨てられて、あの人にチャンスを与えられても結局折れなくて」

「……悔しいっすよ。でも、結局何してもあいつは折れないっす」

「折れないなら絶対に折る。そう信じなきゃ、あの人には勝てないわよ。そして、自分の大事なものだけは絶対に折らない。あたしはそう決めた。あの人に勝つ為に……。あの人だって絶対そうだから」

「山内ちゃん……」

「まずはこいつらを止めるわよ副会長。そうじゃなきゃ、会長には勝てない!」

「言い出しっぺだった山内ちゃんも随分変わったっすね。まったくあの女は……」

 

 ガス怪人が火炎放射器怪人の隣に立つ。

 

「美咲に力を貸すのなんて死んでも御免すけど、山内ちゃんと組むのなら別に良いっすよ」

「副会長……」

「この戦いが終わったら、焼肉でも行くっすか? 打倒美咲の同盟の儀式に」

「それ良い考えね。アンタの奢り?」

「割り勘っす。答えは聞いてないっすよ」

「ったく……いくわよ!」

 

 もう一度二人で、地を蹴っていく。


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