浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
成音に代わって、剣の怪人・改数人相手に立ち回るガス怪人。
成音以上の戦闘スキルで、ベルトの性能が違い過ぎる彼女らとある程度互角に渡り合う。
「やっぱり……」
凄い、その一言に尽きる。
美咲と戦う事から逃げた彼女ではあるが、それでもそれまで美咲を倒す為に、相応の負荷を自分に掛けていた。
時には自分のプライドを捨ててまで。
実際、蒲生は美咲に勝てていないが、逆に成音は蒲生に勝てない。
彼女は美咲に勝てていないし、美咲に勝つ為には今一つ足りない感性の持ち主だが、それでも美咲を否定しようと必死だった者が、雑な洗脳をされた者に大きな後れを取ることなどないのだ。
「……あーあ、こんな事させられるって分かってたらやんなかったっすよ。めんどくせえな!」
剣の怪人・改の一人を蹴っ飛ばして言う。
腹に重い一撃を喰らったそれはその場で崩れ落ち、更に顔面へと追い打ちを掛けた。
「はぁ……」
「排除……排除……」
「アンタしつこいっすね。いい加減倒れるっす」
ガス攻撃で吹き飛ばすガス怪人。
「……ッ!」
成音はもう一度ドライバーを操作。
『FLAME SHOWER DRIVE READY?』
「変身ッ!」
『COMPLETE』
火炎放射器怪人となって、剣の怪人・改の一体へとタックルしていく。
「はあッ!」
「くっ……」
剣の怪人・改はそのまま地面へと叩きつけられた。
「手伝ってくれるんすか?」
「手伝いなんてしてない。あたしも戦わなきゃ、アンタと同じになっちゃうって思っただけよ」
「どういう意味っすかそれは」
「あたしはアンタとは違う。アンタより弱いけど、あたしはアンタと違って自分の敵からは逃げない。まずそれが出来なきゃ、会長に勝てるわけがない!」
「あんなしつこい奴に勝とうとか、頭お花畑っすか?」
「じゃああんな無茶苦茶な人に負けたままで、アンタは悔しくないの? 洗脳までされて、捨てられて、あの人にチャンスを与えられても結局折れなくて」
「……悔しいっすよ。でも、結局何してもあいつは折れないっす」
「折れないなら絶対に折る。そう信じなきゃ、あの人には勝てないわよ。そして、自分の大事なものだけは絶対に折らない。あたしはそう決めた。あの人に勝つ為に……。あの人だって絶対そうだから」
「山内ちゃん……」
「まずはこいつらを止めるわよ副会長。そうじゃなきゃ、会長には勝てない!」
「言い出しっぺだった山内ちゃんも随分変わったっすね。まったくあの女は……」
ガス怪人が火炎放射器怪人の隣に立つ。
「美咲に力を貸すのなんて死んでも御免すけど、山内ちゃんと組むのなら別に良いっすよ」
「副会長……」
「この戦いが終わったら、焼肉でも行くっすか? 打倒美咲の同盟の儀式に」
「それ良い考えね。アンタの奢り?」
「割り勘っす。答えは聞いてないっすよ」
「ったく……いくわよ!」
もう一度二人で、地を蹴っていく。