浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百七十九話

 俺は何とかグングニルと共に、仮面ライダーアトミックを相手どっていた。

 いや……俺は活躍しているという程は動けていない。

 ほぼグングニルの手柄だ。

 

「ハッ、トウッ!」

 

 魔法陣から槍を飛ばしながら、手持ちの槍を大きく振るうグングニル。

 それでもアトミックは防ぎきる。

 

「フォームチェンジがないお前じゃやっぱり、歯ごたえがねえな」

 

 つまらなそうにそう告げるアトミック。

 

「ウルサイ……ソレデモヴィーダガオマエタオス!」

 

 怒りを魔法陣からの槍に乗せてぶつけるグングニル。

 俺は何とかアシストをしようと、刀を構えて前に出ていく。

 

「ふんっ!」

「くっ!」

 

 アトミックの手から、気が放たれる。

 俺はそれに大きく怯み、体勢を崩す。

 アトミックはそこを逃さず、瞬間移動で俺との距離を詰め、追い打ちをかけていく。

 光剣の薙ぎが、俺の脇腹へと流れ込む。

 俺は焼けるような痛みを感じながら、地面へと叩きつけられた。

 

「……ッ!」

 

 再び瞬間移動で俺の前に現れる。

 

「お前は手ごたえ以前の問題だ……レベルが違い過ぎて話にならねえ」

「はああッ!」

 

 騎兵怪人がその隙を突いて突進。

 勿論アトミックには当たらず、アトミックの手から放たれた爆発波で大きく吹き飛ばされる。

 

「はぁ……つまんねえ。つまんねえつまんねえ」

 

 アトミックがそう呟きながら、騎兵怪人の馬部分を蹴り飛ばす。

 

「てかさ、俺に時間掛けてて良いのか? お前……友達が大事なんだろ?」

「どういう……意味系?」

「山内成音が何でまだ来ていないのかくらい、少しは考えたらどうなんだ?」

 

 俺はその言葉にハッとする。

 

「しまっ……」

「ナリネ!」

「成音さん……!」

「成音っち……」

「さあどうするんだ? 俺はもう帰っても良いんだぜ? どうせ続けた所で俺には勝てねえんだ」

 

 アトミックがそう問いかけてきた。

 

「俺が戦いを引き継ぐ」

 

 低く通った男の声が、近くから聞こえる。

 全員がその姿に目を当てた。

 彼は……。

 

「明人さん……」

「待たせたな、六角美咲」

 

 片方だけ赤い瞳に変化した、足利明人だ。

 

「その瞳……そうか。お前あの薬の力を自分のものに……」

「……」

 

 明人は美咲に目を向ける。

 

「こいつは俺が倒す。お前が山内成音の所へ行け」

「身体は大丈夫なんですの?」

「分からない。だが今は、無性に戦いたくて仕方がない」

 

 アークソードドライバーを手にそう呟く。

 

「……! お願いしますわ!」

 

 美咲はそう告げて、ボマードライバーを操作する。

 すると、その形がバイクへと変形した。

 

「行きますわよ……!」

 

 美咲がそう呟いて、バイクと共にその場をあとにする。

 

「さて、こうして戦うのは初めてだな……アトミック」

 

 明人が鋭い瞳で、アトミックを睨みつけた。


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