浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「そうだな。この前までそいつは俺の身体だったわけだし」
仮面の下で笑みを浮かべるアトミック。
「お前に好き放題やられたが、今日で汚名返上させてもらう。大人しく俺に斬られてもらおうか」
アークソードドライバーを操作する明人。
「……こいつは楽しめそうだ」
アトミックがそれを同じ顔のまま眺める。
『ARC SWORD DRIVE READY?』
「……」
何も言わず、端末を取り付けた。
『ARC COMPLETE……!』
その姿は、今までの剣の怪人・改とは別物だった。
元の意匠を残しながらも、複眼や若干さっぱり目のデザインから、怪人というよりかはライダーに近いフォルム。
あれは……。
「まさか完成したのとやり合えるとはな……」
「……これが、今の俺の力」
明人……剣の怪人・改が力を肌で感じる。
手にした剣を構えてから、剣の怪人・改はその複眼でアトミックを見据えた。
「勝負だ、アトミック」
剣の怪人・改は地を蹴って、アトミック目掛けて飛んでいく。
※※※
何とか剣の怪人・改達を一体ずつ確実に二人で倒していた成音と蒲生。
だがそれにも限界が近付いていた。
二人は残り三体を目の前に、息を切らす。
「これ、いけるの……?」
「やるしかないっすよ。山内ちゃん……」
もう一度駆け出そうとしたその時。
「排除……排除!」
後藤が変身している一体が、禍々しいオーラと共に自分達目掛けて飛び込んでくる。
他の剣の怪人・改とは違う重い蹴りが、火炎放射器怪人の腹に突き刺さった。
「……ッ!」
次いでガス怪人の脇腹にも重い一撃を入れる。
「くっ……」
それでは止まらず、追い打ちが二人の身体へと立て続けに放たれていく。
最後は二人纏めて顔面を掴まれ、地面に引きずられてから、ブロック塀へと叩きつけられた。
「……なんて、力……」
変身解除された成音がそう呟く。
だが……。
「ぐあっ……ううっ……けほっけほっ……」
変身が勝手に解除され、後藤は血を吐き出して倒れる。
薬の副作用が、他の剣の怪人・改とは違う……このままでは。
「はい……じょ……」
それでも後藤はもう一度変身しようとする。
他の剣の怪人・改も全くそれを気にせずに、二人に向かおうとしていた。
「ここまでっすか……」
蒲生が諦めた声でそう呟く。
「いいえ、まだ終わりませんわ!」
遠くから聞こえた声。
声の主はバイクと共に現れて、剣の怪人・改二体を軽く吹き飛ばす。
ターンしてからメットを外し、剣の怪人・改を見て言う。
「倒れている仲間を無視するのは、生徒会として関心しませんわね」