浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
美咲はバイクをボマードライバーへと戻し、ベルトに取り付けてから二人に告げる。
「成音さん、蒲生さん……ここは私が何とかしますわ。早く遥さんの所に皆さんを連れていきなさいな」
「会長……分かったわ!」
もう一度火炎放射器怪人へと姿を変え、生徒を何人か抱えて立ち去る成音。
背中から爆炎をまき散らして、ジェットエンジンのような音を響かせた。
「蒲生さんも、逃げるか手伝うかをお願いしますわ」
「……は? 何私に指図してんすか」
「……」
「私はやるっすよ、この二人を」
「戦う気ですの? まだ」
「この時点で屈辱っすけど、一緒に戦えばただ助けられるよりはマシだと思っただけっすよ」
ガス怪人は拳を構える。
美咲が礼を言う。
「蒲生さん、ありがとうございますわ」
「勘違いしないで欲しいっす。私はアンタに借りなんて作られるのは御免っすし、それに……やっぱりここまでしてアンタを倒せないのは悔しいっす。だから、やっぱりその首また狙わせてもらうっす」
ガス怪人の言葉に、美咲は笑みを浮かべる。
「良いですわよ。私はいつだって歓迎しますわ」
「アンタのそういう所が嫌いっす。でもそれがアンタらしい……」
吐き捨てるように、ガス怪人がそう答えた。
「排除……排除……」
二人の様子を見ながら、ゾンビのように剣の怪人・改二体が迫る。
美咲もシリアスな表情に直ってから、蒲生に告げた。
「でも私に勝ちたいのなら、まず自分の仲間くらいは救いなさいな」
「……まだあいつらの事、仲間だと思ってるんすか?」
「私は貴女に言った筈ですわ。成音さんだけじゃない、生徒会の皆も、貴女も……」
「うるさいっすよ」
美咲はボマードライバーを取り出し、スクリーンにクールタイムが無い事を確認してから変身ボタンを押す。
端末が音声が鳴る。
『BOMER DRIVE READY?』
それから左手で端末を閉じ、顔の左側に構え告げる。
「変身ですわ!」
そのまま端末を取り付けた。
『COMPLETE』
上から紫色の爆弾型の光が降る。
それを美咲は右手で握り潰し、爆風に包まれた。
その中から現れる。
爆弾頭に詰襟姿のヤンキーモチーフの戦士……仮面ライダーボマー。
バットを構えてから、高らかに決め台詞を叫ぶ。
「ここからは私達のステージですわ!」
「私をそれに巻き込まないで欲しいっす」
動けない後藤以外の二人に向かって、そのまま駆け出していく。
ボマーはバット、ガス怪人は拳を構え、それを勢いよく剣の怪人・改へと叩きつけていく。
「「はあッ!」」