浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百八十一話

 美咲はバイクをボマードライバーへと戻し、ベルトに取り付けてから二人に告げる。

 

「成音さん、蒲生さん……ここは私が何とかしますわ。早く遥さんの所に皆さんを連れていきなさいな」

「会長……分かったわ!」

 

 もう一度火炎放射器怪人へと姿を変え、生徒を何人か抱えて立ち去る成音。

 背中から爆炎をまき散らして、ジェットエンジンのような音を響かせた。

 

「蒲生さんも、逃げるか手伝うかをお願いしますわ」

「……は? 何私に指図してんすか」

「……」

「私はやるっすよ、この二人を」

「戦う気ですの? まだ」

「この時点で屈辱っすけど、一緒に戦えばただ助けられるよりはマシだと思っただけっすよ」

 

 ガス怪人は拳を構える。

 美咲が礼を言う。

 

「蒲生さん、ありがとうございますわ」

「勘違いしないで欲しいっす。私はアンタに借りなんて作られるのは御免っすし、それに……やっぱりここまでしてアンタを倒せないのは悔しいっす。だから、やっぱりその首また狙わせてもらうっす」

 

 ガス怪人の言葉に、美咲は笑みを浮かべる。

 

「良いですわよ。私はいつだって歓迎しますわ」

「アンタのそういう所が嫌いっす。でもそれがアンタらしい……」

 

 吐き捨てるように、ガス怪人がそう答えた。

 

「排除……排除……」

 

 二人の様子を見ながら、ゾンビのように剣の怪人・改二体が迫る。

 美咲もシリアスな表情に直ってから、蒲生に告げた。

 

「でも私に勝ちたいのなら、まず自分の仲間くらいは救いなさいな」

「……まだあいつらの事、仲間だと思ってるんすか?」

「私は貴女に言った筈ですわ。成音さんだけじゃない、生徒会の皆も、貴女も……」

「うるさいっすよ」

 

 美咲はボマードライバーを取り出し、スクリーンにクールタイムが無い事を確認してから変身ボタンを押す。

 端末が音声が鳴る。

 

『BOMER DRIVE READY?』

 

 それから左手で端末を閉じ、顔の左側に構え告げる。

 

「変身ですわ!」

 

 そのまま端末を取り付けた。

 

『COMPLETE』

 

 上から紫色の爆弾型の光が降る。

 それを美咲は右手で握り潰し、爆風に包まれた。

 その中から現れる。

 爆弾頭に詰襟姿のヤンキーモチーフの戦士……仮面ライダーボマー。

 バットを構えてから、高らかに決め台詞を叫ぶ。

 

「ここからは私達のステージですわ!」

「私をそれに巻き込まないで欲しいっす」

 

 動けない後藤以外の二人に向かって、そのまま駆け出していく。

 ボマーはバット、ガス怪人は拳を構え、それを勢いよく剣の怪人・改へと叩きつけていく。

 

「「はあッ!」」


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