浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百八十二話

 明人が変身した剣の怪人・改は、スペックこそボマーのオールウェポンに劣るが、明人自身の戦闘センスや身体能力で何とか互角にアトミックと渡り合う。

 明人の使う超能力もいくつかは見切って剣で切り裂き、剣から闇色の波動を飛ばす。

 勿論今までの剣の怪人・改のものとは威力が全然違う。

 アトミックに何とか命中し、剣の怪人・改は距離をとってから構えなおす。

 アトミックは当たったところをさすってから呟く。

 

「お前はやっぱり俺を超えてくるか」

 

 そう告げてから、光剣を構えて剣の怪人・改との距離を詰める。

 

「お前に負けるようでは、美咲に合わす顔がない。常に進化し続けるあいつに勝てるのは、同じく常に進化し続ける意志のあるものだ。俺はお前に身体の自由を奪われている間も、精神の中でも鍛錬を続けていた。いつかお前を、こうして斬る為にな」

「かっこいいねえ、なんかの主人公みたいだ。さしずめ俺は、お前に倒されるゲームのラスボスってとこか?」

 

 剣の怪人・改の振るった剣が、アトミックを大きく吹き飛ばす。

 

「少なくとも、その呼称はお前には似合わない」

「……」

「俺にそう呼ばれたいなら、まだ足りない」

「言うねえ……じゃあ、これでも喰らってみるか?」

 

 アトミックは攻撃を躱しながら端末を操作。

 

『INFINITY DRIVE』

 

 アトミックの背後に、数えきれないほどのボムビットが出現する。

 

「こいつを喰らって生き延びたら、お前の言葉を認めてやるよ。今だけな」

 

 そう告げた後、ボムビットが勢いよく放たれる。

 

「勝負……!」

 

 アトミックが仮面の下で笑みを浮かべた後、剣の怪人・改が剣を構えた。

 ボムビットは剣の怪人・改とほぼゼロ距離に。

 すると……。

 

「……!」

 

 剣の怪人・改が剣一本で、飛んでくるボムビット全てに斬撃を与えていく。

 爆風の勢いすらも剣で防ぎきり、能力の文字通り無限に匹敵する数放たれたボムビットが、全て彼の剣に消えた。

 

※※※

 

「あれが足利明人……」

「アキト、スゴイ……」

 

 近くで見ていた俺が、そう呟く。

 そこで初めて、美咲が蘇我高校との決戦で本来戦う相手だった者の実力を再確認した。

 今は味方側で心強いが、やはり彼自身も美咲と同じだ。

 とても普通の身体能力の持ち主が、彼を相手にする事など出来ないし、突然変異体であっても厳しいだろう。

 

「これで良いのか?」

 

 剣を下ろしてそう告げる剣の怪人・改。

 アトミックがやれやれと言ってから呟く。

 

「今回ばかりは認めるしかないみてえだな。だが、まだ戦いは終わってねえぞ」


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