浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百八十四話

 通常の剣の怪人・改よりも禍々しく、より怪人と呼べる見た目に近付いていた後藤。

 しかしその力に後藤自身がついていけず、遂に負荷が掛かって崩れ落ちてしまう。

 

「……ッ! はい……じょ……」

「後藤さん!」

 

 先に成音に運んで欲しかったものだが、その時の彼女はまだあの二人に阻まれていた。

 事ここに至っては、すぐに終わらせるしかない。

 

「蒲生さん、手を貸してくださいな」

「……」

 

 ボマーがガス怪人にそう頼む。

 あまり人の力を借りて勝つのは、美咲的には避けたい方法だが、今は彼女の命が最優先だ。

 

「私が必殺技を当てますから、貴女は後藤さんの動きを止めてくださいな」

 

 ボマーがそう頼むと、ガス怪人はこう返す。

 

「それは御免っすね」

「……」

「おっと……勘違いすんなっす。逆ならやっても良いっすよ」

 

 ガス怪人は告げた。

 

「私が技を決めるっす……あいつを倒すのは私っすよ」

「蒲生さん……」

「最初に戦ってたのは私っす。アンタに倒されちゃ、完全にアンタの手柄になっちまうっすからね」

「本当に任せて大丈夫ですの?」

「あいつの攻撃パターンは大体分かったっす。でも私の速度じゃとても無理っすね……美咲」

「なんですの?」

「不本意っすが、アンタの力を貸して欲しいっす。アンタが動きを止めている時に、私があいつを撃つっす」

 

 ボマーがガス怪人に忠告する。

 

「なるほど……分かりましたわ。ですが私を扱うなら、失敗は許しませんわよ」

「少なくとも私は失敗する気なんて毛頭ないっすよ」

 

 ボマーが地を蹴って、姿を消しながら飛び出す。

 崩れ落ちた剣の怪人・改も何とか立ち上がり、ハイドロボマー目掛けて加速する。

 目まぐるしい速度で戦い続ける二人を見ながら、ガス怪人は必殺技の準備。

 ベルトを操作し、銃を向けて……その時を待つ。

 

「失敗なんてする筈ないっす。私はいつかアンタを消す。ここで失敗なんかしてたら、そんな事が出来るわけがないっす」

「はあっ!」

 

 やがてボマーの動きが止まり、剣の怪人・改を後ろから抱くように固定する。

 

『HYDRO END』

 

 ボマーのハイドロフォームの時間が切れ、通常のボマーに戻った彼女が叫ぶ。

 

「今ですわ蒲生さん!」

「いじょ……排除……」

「いくっすよ……」

 

 銃のトリガーを引く。

 

『ヒッサツドライブ! 超フキトーブ!!』

 

 ガスの放射口を怯んで動けない剣の怪人・改に向け、そのまま勢いよく解き放つ。

 その瞬間にボマーは即時に回避。

 轟! と音を立てて暴風が吹き荒れ、剣の怪人・改が吹き飛ぶ。

 

「ぐあッ!」

 

 剣の怪人・改……後藤の変身が解けて地面へと叩きつけられる。

 ガス怪人がそれを見届けてから一息吐いて、その変身を解く。

 

 

 

 


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