浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
生徒会メンバーの応急処置が完了した後、裕太達が〇×女子高に菫達の姿がない事を確認し、遥の車で生徒会メンバーと共に〇×女子高まで移動。
到着後、体育館に生徒達を寝かせ、全員で協力して治療を行うことに。
「それにしても凄い量の配線ですわね」
「私も人生でここまでの人数を一気に診る事になるとは思わなかった。医者でもないのに」
ヘルメット型の機械を数人ずつ取り付け、洗脳に使われた人工脳波を一人一人抽出していきながらそう答える遥。
「こんな事の為に人工脳波を生み出すとは……あいつも随分落ちたな。いや、私も人の事は言えないが……」
「その脳波はどうしますの?」
「……調べた結果同一の脳波が検出された。ひとまず回収と融合をして凍結させる。あとの事はそれから考える……少し気の毒ではあるがな」
「……」
遥の瞳が前髪に隠れる。
ここまで、戸間菫が差し向けた刺客と戦い続けたが、改めて彼女の倫理観が信じられないと言わんばかりの表情だ。
無理もない。
遥は菫を友と信じていたのだ。
信じていたから、こうして今涙を流している。
「すまない美咲、今はあまり私の顔を見ないでくれ」
遥が首を下に向けて、美咲にそう頼む。
それを聞いた美咲が遥の方を見て言う。
「……隠す事はありませんのよ。私は分かってますのよ」
「そういう問題ではない。ここで私が泣くのは筋違いだ。一番泣きたい者が私以外に二人もいるのに、どうして私が泣く事が許されるというんだ」
「……許される許されないではありませんわ。友が悪人だと知った時、辛さや悲しさ、怒りがわくのは当然ですわ。確かに今は余裕なんて無いかも知れない。けど、辛い気持ちを抑え込んで、自ら潰れに行く事はありませんのよ」
「……」
「貴女は既に、私達と出会う前に無理をし続けていた。ここで泣いても、誰も責める権利はありませんのよ」
「美咲……」
そう呟いた瞬間、前髪に隠れた瞳から一筋の涙が流れていく。
ポケットから取り出したハンカチで顔を押さえて、それでも声を殺して泣く。
「確かに前に罪を犯したかも知れない。それでも、皆さん本当に……それだけの事で自分の気持ちを諦めすぎですのよ。罪なんて、誰でも等しく犯すものですのよ。私も……そうでしたのよ。でも、後ろめたい気持ちになるのも分かりますわ」
美咲は自分がそうだった時の事を思い出しながら言う。
「だから、私は自分の仲間が叶えたいと思った願いは全力で叶えますの。もし気持ちを表に出すのが後ろめたいなら、私に全部任せてくださいな。私は全て受け止めますの」
「……ッ」
「私、やりますわ。遥さんの願いも、きちんと叶えますの。その時笑えるように、今は泣いてくださいな」
「……ああ」
ハンカチを退けて泣き顔を見せながら、遥はそう返事する。