浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百八十八話

 一時間足らずで全員に必要な処置を施し終えてから、次は美咲からボマードライバーとガスドライバーを預かり、明人からはソードドライバーを預かる。

 アークソードドライバーも一応預かろうとしたが、使っている端子の種類が違い断念した。

 

「……これは使えんな」

「やはりそうですのね……」

「まあ相手も菫だ。敵をそう簡単に強化などさせてはくれまい。むしろ他二つを改造されなかった事を有難く思う他ないな」

「……」

 

 さっき泣いた事で吹っ切れたのか、今は菫の事を話すときも無表情だ。

 

「とにかくもう時間がない。早急に取り掛かるから、適当に待っていてくれ」

「分かりましたわ」

 

※※※

 

 皆が手分けして治療を行っていた時、俺とヴィーダは外で見張りをしていた。

 

「……」

「……」

 

 なんというか、気まずい雰囲気だ。

 ヴィーダもさっきからチラチラと自分の事を見ている。

 何か話したそうなオーラは出ているのだが、ヴィーダにしては珍しく行動に移そうとしていない。

 

「……はあ」

 

 仕方ない。ここは年長者の俺が声を掛けてみるか。

 

「何か話したい事でもあるの?」

「エッ? ト、トクニソンナコトナイケド……」

「なら何でそんなにチラチラ見るんだい?」

 

 なんか違うな……これじゃ下手なナンパ師だ。

 しかも相手が幼女だから周りから見れば更に誤解が……。

 

「……」

 

 しかもヴィーダさん、そんな迷惑そうな顔で見ないでくれ。

 そんな顔されたら余計誤解が生まれるだろ。

 

「アラテノナンパ?」

「いやお前どこでそんな言葉覚えた!?」

「ナリネガミテルテレビデソーイウノアッタ」

 

 成音さんもこの子がいる時にそういうの見るなよ。

 

「はぁ、そうじゃなくて。さっきから結構こっちを見てるから、話したい事でもあるのかなって思っただけで、別に変な事は考えてないよ」

「ウワキデモナクテ?」

「だからちげえしどこで覚えた!? てか浮気以前に誰とも付き合ってねえ!」

「ミサキトラブラブ」

「ラブラブじゃない!」

 

 成音にあとで言っておかないとな……。

 

「はあ、なんか……もう良いか。見張り続けようぜ」

「ネエ」

「ん?」

「ユウタハモトモトニンゲンダッタンダヨネ?」

「……ああ。そうだな。てか今も人間だと思いたいし、お前もそうだろ?」

「ヴィーダハ、ワカンナイ。ヴィーダハタタカウイガイマダナニモデキナイシ、ニンゲントハチガウ。ママヤナリネトハチガウヨ……」

「自分が戦闘マシーンだ……なんて思ってないよな?」

「オモッテルノカモ……」

「大丈夫だ。今そう思えなくても、ヴィーダは人間だ。今戦う事しか出来ないなら、終わってから色んな事が出来るようになれば良いさ。お前は俺と違って、ちゃんと未来があるんだからさ」

「ミライガアル? ドウイウコト?」

「ヴィーダにも相談しようかなと思ってたけど……俺、死んじゃうらしいんだ。近いうちに」


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