浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第百九十一話

「お見事だ」

 

 バスケットボールを投げて、リングの中へと見事シュートした青年に、知的な雰囲気を漂わせる女性が拍手してそう告げた。

 女性の名前は、戸間菫。

 自分とは学部の違う同級生で、彼女の友人と共に大学内で知らないものはいないとか。

 それはそうだ。

 何せ、彼女は若干十九歳の身にして、何やら高度な研究をしている程の天才なのだから。

 彼女のしている事など青年には理解出来ない世界だが、それが凄い事だけはよく分かる。

 

「……ありがとう、ございます」

 

 青年は緊張した声で、菫の称賛に対して礼を言う。

 菫のような人物に評価してもらえる事も嬉しかったし、何より彼女は美しかった。

 まともに目を合わせる事も、青年のようなバスケ以外取り柄のない青年には厳しい事だ。

 

「またここに、見に来ても良いかい?」

「……え?」

「僕も最近スランプ気味でね、気分転換出来る何かが欲しいんだ。協力してもらえるか?」

「……」

 

 青年は言葉も出ないぐらい嬉しくなり、下を向いて返すべき言葉を探す。

 

「やはり見られるのは恥ずかしいかい? では残念だが、別の所へ……」

「まっ、待って!」

 

 青年は手を伸ばして止める。

 

「俺のバスケで良ければ、是非……見てってください」

 

 ――。

 

「げほっげほっ!」

 

 一号は、咳き込みながら目を覚ました。

 まだ重い身体を少し持ち上げ、近くにある電話の子機まで手を伸ばす。

 眠る前に出て行った明人は、美咲は……裕太は、どうなったのだろうか。

 

「はあ……はあ……」

 

 少し動くのでさえ、息が切れて辛い。

 もう生きられる時間がないというのが、それだけで一号の心に伝わってくる。

 

「菫……」

 

 さっきまで見ていた夢の中に、菫がいた。

 一号が人間だった時の記憶なのかは定かではないが、あの菫の姿は、今までの一号の記憶の中にはなかった筈だ。

 それに、自分が元々バスケットボールを嗜んでいた事も。

 

「……」

 

 菫といたい、そんな気持ちが今の自分の中で強くなっている気がする。

 自分が死に近付いているからなのか……それは分からない。

 けど、この身体でその願いを叶えるのはとても……。

 それに明人には否定されたが、今の自分には罪を償う事が最優先だ。

 裕太や美咲の為に出来る事をしなくては……。

 

「行かないと……ッ!」

 

 一号はサックドライバーを手にする。

 このシステムは負傷をある程度軽減する機能が備わっている筈。

 ならば……この病に侵された身体もあるいは……。

 

『SMASH DRIVE READY?』

「……変身」

 

 一号は構えてから、息を切らしつつそう呟く。

 

 

 

 

 

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