浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

197 / 311
第百九十六話

 急に二号は、その手で美咲につかみかかった。

 

「美咲!」

 

 裕太が叫ぶ。

 

「チャンス与えてくれるんだろ? だったらもっと遊ぼうぜ。どっちかが諦めるまでよ」

 

 二号がそう言いながら美咲のポケットから取り出したのは、ハイドロフォームカード。

 

「待ちなさい……それをどうする気ですの?」

「こうするんだよ!」

 

 美咲の腹を蹴り飛ばし、ドライバーを取り出す。

 端末のボタンを押す。

 

『UPDATE DRIVE』

 

 アップデート……つまり更新を意味する音声がアトミックドライバーから鳴る。

 

「これで俺は更なる高みへ行ける。お前が若干弱体化するのが残念だけどな……」

 

 笑みを浮かべて、カードを読み取る二号。

 

『COMPLETE』

 

 アトミックへと姿を変えてから、水色の光に包まれ……呟く。

 

「ハイパー超変身……なんてな」

 

 その呟きと同時、まるで世界が止まったかのように……一瞬世界から音が消える。

 後から遅れて爆風が巻き起こる。

 変身の余波だけで、美咲達はその場から吹き飛ばされ……最初は目も開けられなかった。

 やがて収まってから……その眼を開く。

 そこにいたのは。

 

「……!」

 

 仮面ライダーアトミック……なのだろうか。

 だがその姿は、最早怪人と言われても納得出来るものだった。

 

「さあ……もっと遊ぼうぜ……」

 

※※※

 

 ブランクタイムで変身出来ない美咲の前に、俺達三人が割り込む。

 

「ああ、そうか。あのフォームやった後は変身出来ないんだっけか」

 

 アトミックが残念そうにそう呟く。

 

「……ならお前らをサンドバッグにして試させてもらうぜ」

「こいつ……!」

 

 怒りに任せて向かおうとした俺を、明人が止める。

 

「挑発に乗るな。俺が相手する」

「いやいや、三人纏めて来いよ。その方が俺も楽しいからよ」

「……!」

 

 言葉の後、明人が変身し地を蹴って駆け出す。

 

「遅えんだよ」

 

 剣の怪人・改の瞬間的な速度すら上回り、アトミックが明人の首を掴む。

 

『EXPLOSION DRIVE』

 

 端末を操作し取り付ける。

 だがあの機能は、自分ごと爆発する筈だ。

 確かにアトミックにもあの能力はあるが……。

 

「はあッ!」

 

 爆発したのは、右腕だけだ。

 右腕と一緒に明人が弾け飛び、死にはしなかったものの大ダメージを受け変身解除。

 

「ぐあっ……」

「さあて、次はお前らか」

 

 刀と槍を構える、俺とグングニル。

 だが……。

 

「ぐっ……」

「エッ……」

 

 俺とグングニルの意識にすら入らぬ間に、既に近付いていた事にも気付かないまま俺とグングニルの腹には、奴の拳が突き刺さっていた。

 それに、あの拳の振り方も……彼にとってはジャブに過ぎない。

 それなのに……。

 

「うわあッ!」

 

 俺達は、その一撃だけで変身が解けてしまった。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。