浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「これが……こいつの真の力か」
戦いは五分足らずで、相手の勝利に終わった。
最早、勝てるか勝てないかの次元ではない。
明人を一撃で倒す程の力なのだ。
こんなもの……オールウェポンがあっても勝てるかどうか……。
「ふっ……」
笑みを仮面の下で浮かべたアトミックが変身を解き、二号の姿へ。
「六角美咲、お前にチャンスをやる。一週間だ。一週間で、お前達四人を俺と釣り合うくらいに強くするんだな」
「何を言ってますの……私はまだ貴方と戦っていませんのよ」
「分かるだろ。例えもう一度オールウェポンの力を使おうと、今の自分じゃ俺に勝てねえってさ」
「……ッ!」
あの美咲が、それを否定出来ずにいた。
「だから時間をやる。お互い少しでも楽しめるようにな」
「二号さん……」
「お前の真似をしてみただけさ。一度負けた奴にもチャンスをやるんだろ? だから気まぐれに一度だけチャンスをやる事にしたってだけだ」
二号が言う。
「ない知恵を絞るんでも、無駄な努力をするんでも良いぜ。一週間やるよ。ただし、それ以上は与えねえ。もしそれでも俺に勝てないようなら、お前ら全員皆殺しだ」
「……」
美咲は拳を握る。
そう告げて去ろうとする二号に対し、止めた。
「待ちなさいな」
「まだ何かあんのか? 悪いけど延長ならしねえぞ」
「貴方は何がしたいんですの? 貴方は負けた人にチャンスを与えないと言った。そんなの……何が楽しいんですの? 競う相手がいない世界でも作るつもりですの?」
「多分そうだと思うぜ」
二号が笑みを浮かべ、そう答える。
「俺が欲しいのは、俺が全てのものに負けないっていう事実だ。自分の事を弱いと言う奴さえいなくなれば、この世界はもっと楽しい。お前も頂点に立ちたいんだろ? なら……俺と同じなんじゃないのか?」
「……違いますわ! 頂点に立っても、人は常に上を目指し、進化するもの! 競い合う相手も、否定する人もいない世界では、それ以上の進化なんて出来ませんわ!」
「その甘さが、今こうしてお前の首を絞めている……それに気付いてんのか?」
「……ッ!」
「その甘さが無ければ、お前は俺の作戦通りに行く事は無かった。最初から、全部この為にお前を騙したんだよ。お前は自分が強くなる為に、敵でさえも戦ったら構わず仲間にするような奴だと知ってたからな」
美咲は最早反論する言葉を失っていた。
いや、最早考えようとすらしなかった。
どう言い訳しようと、それが自分の負けた理由なのだから。
「……もし俺に勝ちたいなら、容赦なんてする必要はないぜ。そうでもしなきゃ、お前は俺の足元にも及ばない」
そう告げて、二号がその場から姿を消した。
美咲はそれを見届けてから、思い切り拳を地面に叩きつける。