浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

199 / 311
第百九十八話

「ほらよ、これで良いだろ?」

 

 二号は菫の研究所に戻ってすぐに、ハイドロフォームカードを菫に見せる。

 

「……」

 

 だが菫は不満げな表情で対応する。

 

「僕は、君に何と言ったか覚えてるかい?」

「ああ……。ハイドロフォームカードを奪った上で、オールウェポンのカードを破壊、その上であの場の全員を塵も残さず全員殺せ……だったか?」

「そうだね。でも、君はその内の一つしか達成していない」

「お袋よぉ、俺がそんなつまんねえ事すると思うか?」

 

 二号が笑みを浮かべて告げた言葉に、菫は不快感を全面に出した表情で答えた。

 

「……はあ、君の願いを叶えてあげたんだから、これからは完璧にこなしてくれると思っていたんだがね。どうしてなんだい? 君は自分が強いという現実さえあればそれでいいのではないか?」

「ただただ力だけあっても、それが強いかどうかは試さなきゃ分かんねえだろうが。あいつらが無駄な努力をして、それでも俺が勝つ。それによって、こいつの……いや、俺の力が本物だって事が分かる。お袋みたいな奴には一生理解出来ねえと思うけどな」

「どういう意味かなそれは」

「分かってる癖に……。アンタは心の中では負けを認めてる。だから自分一人の力じゃなくて、俺らを使って狩野遥を消そうとしてるんだろ? まともに研究したって勝てねえから」

「……」

 

 彼の……いや彼女の言う事は事実だ。

 だからこそ、菫は耐え切れずに反論する。

 

「それは君とて同じだろう? 昔の肉体のままではあれ以上強くなる事が出来ないから、僕の力を借りたのではないのかい?」

「……ふっ」

「何がおかしい? 君も僕も同じ穴の狢……そうじゃないのかい?」

「ああ、いやいや。そういや俺も言う資格無かったなって笑っただけだ」

「……君、人を舐めるのも大概にしたまえよ。誰のおかげで、自分の願いが叶ったと思っているんだい?」

「だからアンタには感謝してるし、アンタの言う事を一部聞いてやってるだろ? でも俺はつまんねえ勝ち方はしたくねえんだよ。安心しろ。俺は人の力借りた上で負けるなんてだせえ真似しねえよ」

「それで負けたら、どう責任を取るつもりだい?」

「……知らねえな。俺は別にアンタがどうなろうが知ったこっちゃねえからな」

 

 菫は完全に後悔する。

 彼女にあの身体を与えたのは失敗だという事を。

 でも……今なら。

 

「どうやら、僕が無理矢理にでも君を矯正するしかないみたいだね」

「……」

「悪いけど、君に一度痛い目を見てもらうよ。僕の勝利の為にね」

「能力使えば操作も妨害出来るって知ってるか? って聞いてねえか」

「超化!」

『COMPLETE』

 

 菫の身体をオーラが包み、力を与えた。

 

「……良いぜ。やれるもんならやってみな」

 

 ベルトを装着しようとしている二号に向かって超スピードで飛び出し、拳を勢いよく振るう菫。

 二号はそれを間一髪で回避し、端末を操作。

 

『BOMER DRIVE READY?』

「変身」

 

 左拳を握りながら、端末をベルトに装着。

 

『COMPLETE』

 

 二号はその姿を、仮面ライダーアトミックへと変えた。

 

「ふっ……」

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。