浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
五月中旬。
仕事に行きたくないというのは、日本国民共通の感情であって欲しい、などと考えながら俺は自分の部屋のベッドで目を覚ました。
「……」
アラームの音が鳴り、今日も地獄の始まりだ。
※※※
朝食を済ませてから、俺はリュックを背負って自転車でマンションを後にする。
この瞬間から、俺をどんよりとした重い空気が襲う。
理由はあとで説明するが、俺の仕事に行きたくないは、世の中の平凡な会社員が言う嫌だ嫌だのレベルを遥かに上回っていると思う。
何故なら、そこで働いていると、万が一死ぬ可能性だってあるからだ。
怪我ではない。
死ぬのだ。
「ううう……」
お腹が痛い。
さっき食ったもの全部吐きそうだ。
働き始めて一か月近く、俺の体重がガクンと落ちた。
それもこれも職場環境のせいだ。
「はあ……」
このまま仕事サボろうかな……いや、だってそうしないと心が潰れそうだし。
神も許してくれるだろ?
「きゃあ!」
ドン!
「なんだなんだ……? あ……」
アア……オワッタ。
ありのまま今起こった事を話すと、暗い顔で自転車を漕いでいたら、何かにぶつかったような衝撃が走り。
それに気付いて確認すると、目の前で女の子が倒れていた。
何を言っているのか分からないと思うが、俺もよくわからなかった。
「警察呼ばないと」
仕事行く前に自転車で事故を起こしてしまうとはなんという番狂わせだ。
ただこのままひき逃げで捕まるわけにはいかない。
俺は携帯を取り出したが次の瞬間。
「えっ?」
さっき轢いた少女に睨まれながら、俺は腕を掴まれた。
そんな事を考えている場合ではないが、彼女はかなりの美少女に見える。
黒髪を両サイドで三つ編みにし、紫の切れ長の瞳に、眼鏡を掛けた真面目そうな感じの子。
赤いブレザーに赤いスカート。リボンの色は黒で……よくよく見ると胸が大きい。
左腕には、生徒会長と書かれた金色の腕章。
「ぐっ、ぐっもーにん」
次の瞬間、そんな美少女に俺は思い切り殴られた。
※※※
「てて……何するんだよ」
「貴方、人を轢いておいて何携帯いじってるんですの!?」
「いや警察呼ぼ
「黙りなさい犯罪者の言い訳なんて聞きたくないですわ!」
君が聞いて来たのに何でここまで言われてんだ……。
しかも朝からうるさい。
「いやあの携帯使わせてくれないとホントの犯罪者に
「もう良いですわ! こうなったらこの爆弾で貴方をバラバラにしますわ!」
ば、爆弾!?
あ……いや流石に冗談だよね。
「さあ……」
ゑ? なんでなんで!?
そんな危ないもの……え、女子高生だよねこの子。
「死になさい!」
い、いやああああああああッ!
「アレ?」
「あ……」
……。
今起こった事を説明させてくれ。
爆弾は俺に向かって投げられた。
のだが……すぐ後ろにあった電柱にぶつかり、跳ね返って、彼女の目の前で爆発した。