浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
美咲が倒れてから数時間後の夜八時。
俺はあの後すぐに目を覚ました山内と共に、彼女が眠るベッドの近くの椅子に座っていた。
「……」
山内も、そしてあれだけの攻撃を受けた美咲も、命に別状のあるダメージはない。
特に心配する事はないと言われたが、俺は取り敢えず起きるまで傍にいる事にした。
「ねえ、アンタ」
隣に座る山内に声を掛けられる。
俺の方が年上で、元とは言え教師だというのに、彼女の口の利き方は美咲に対するものと同じだ。
「取り敢えず……アンタ呼びやめてくれないかな……」
「じゃあなんて呼べばいい? 会長の金魚の糞?」
ムカッ……。
「俺が好きでこいつと一緒にいると思うのか……?」
「違うの?」
「違いヤス」
「じゃあなんで一緒にいるの?」
「……」
言えない。
就職先を見つけてもらう代わりに、美咲に働かされてますなんて言えない。
恥ずかしすぎて……。
「とにかく! 俺には福沢裕太っていうちゃんとした名前があるんだ! だからせめて裕太さんと呼んで
「フクでいい?」
「うう……」
急にお腹が……。
「急に腹抱えてどうした?」
「その呼び方にはトラウマがあるからやめてくれ……」
いてててて……。
※※※
「落ち着いた?」
「うん……」
あったかいお湯飲んだら何とかなった……。
「でもさ、裕太もこんな人と一緒だと疲れない?」
「そりゃあ疲れるけど……でも、なんだかんだ最近はこいつに救われた」
「救われた?」
「ああ……色々と」
決してコネで就職させてもらっただけではなく……ね。
「俺は美咲みたいに強くないし、度胸もない。でも……俺も彼女みたいに強い意思を持って生きてみたいって思えた」
そしたらまた来年こそ……教師になりたい。
自分の考えや経験を、ちゃんと生徒に伝えられる教師に。
「変わってるね、裕太も。あたしにはもう……」
何かを言いかける山内。
その時。
「んっ……んー……」
美咲が目を覚ました。
「ここは……どこですの?」
「病院だよ。剣の怪人にやられた後、救急車を呼んだんだ」
「そうですの……」
美咲は目を閉じる。
落ち込んでこそいないが、悔しそうな顔をしていた。
「二週間後って言ってたけど……どうする気なんだ?」
「戦うに決まってますわ」
彼女の意思は固い。
だが……。
「勝てるのか?」
「今のままでは……恐らく無理ですの。なら方法は一つですわ」
「それは……?」
「それは……」
美咲は溜めてから、告げた。
「修行ですわ!!」
ガチャ。
「テメエらうるせえぞここどこだと思ってんだ!」
「……」
バットタイミングだったな。
「うるさいですわ」