浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百話

 

「なんてことだ……!」

 

 遥が拳を机に叩きつけ、顔を青くする。

 

「すみません……私の力不足のせいでしたわ……」

「力不足……か。違うな六角美咲」

 

 明人がそう美咲に告げた。

 

「明人さん?」

「あの時のお前は人が良すぎた。油断せず……相手の出方をきちんと伺えば、ハイドロフォームカードを奪われずに済んだ筈だ」

 

 明人の言葉に、美咲はそう頷く。

 

「おい、今人を責めてる場合かよ。貴重な戦力を奪われたんだぞ!」

 

 裕太がそう明人に叱責。

 

「ああ、そうだ。だからこそ言った」

「……!」

「良いか福沢裕太。戦力を失った今、もうこれ以上油断出来ない。次戦う予定の一週間……相手の性格上、それも嘘という事も大いにあり得るが、仮に一週間あるとして、その一週間でどれだけ実力を上げられる? それに上げられたとして、今のような油断をされては、勝てるものも勝てなくなる」

「……」

 

 明人の言う事は正論だ。

 裕太は返すべき言葉を失い、俯く。

 

「勝てる方法はあるんですか? 遥さん」

 

 成音の問いかけに、遥は首を振る。

 

「オールウェポンでさえ、アップデートで対抗出来るのは……せいぜいハイドロフォーム未使用のアトミックのみ。ハイドロフォームを奪われては、もう勝ち目がないな。それに、強化フォームを新しく作るにしても……このメンバーの記憶や戦闘能力のデータを回収する方法ではオールウェポンと同じものしか作れない」

「……」

 

 成音が落ち込む。

 

「ホウホウアルヨ、ミンナ」

 

 意外にも、長く続きそうな沈黙を破ったのはヴィーダだ。

 そう告げてから、美咲を見て言う。

 

「ソウデショ、ミサキ」

 

 美咲はその言葉で、ヴィーダの言いたい事を察する。

 

「……それしかありませんわね。時間は限られてますけど、もうこれしか手段はありませんわね」

「ウン」

 

 その方法は、どんなフォームチェンジにも勝ると……美咲は知っていた。

 

「特訓ですわ……皆さん」

 

 ヴィーダの言葉を、美咲が代弁する形で告げた。

 

「残された時間で、一番効率よく強くなる方法はそれしかありませんわ」

「確かにその通りだ。だが……どう特訓するのかを決めているのか?」

 

 明人の問いかけ。

 美咲は少し迷うが、でもこれしか答えようが無かった。

 

「まだ、決めてませんの……」

「具体的な方法がないままでは、強化フォームを作る以上に不毛な時間を過ごす事になる。もう少し考えるべきだ」

 

 美咲は言葉を失う。

 

「ヴィーダ、お前もそうだぞ。思いつきだけで勝てる程、相手の実力は甘くはなくなった。第一……まだ誰もまともな一太刀すら入れられていない。それを考えた上で話すべきだ」

「ゴメン……」

 

 ヴィーダが俯いたのを見て、成音が言う。

 

「あのさ、取り敢えず……今日はもう解散しない? 皆疲れてるし、具体的な案を考えようにも難しいと思う。一応相手は時間を与えてくれたんだから、今日の夜と明日一日を考える時間に充てようと思うんだけど良いかな?」

「……」

 

 それが妥当だと言わんばかりに、明人は何も答えず目を閉じた。

 

「それもそうですわね」

「ナリネ、メイアン!」

 

 美咲とヴィーダが同意した。

 その後ひとまず解散となり、各々が勝つ方法とその為の特訓方法を考える事に。

 

 

 

 

 


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