浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「今死なずに済む方法ですか?」
「ああ。問題を先送りにするだけに過ぎないし、解決出来るかどうかも分からないが、未来に賭ける方法だ」
「……」
「勿論、個人でこれを行うのは色々法律面で問題があるが、お前達の肉体の事を考えれば止むを得ん。私が提示する方法は、人体冷凍保存だ」
聞いた事のある方法だ。
確か数年前にも、癌で死期が迫っていた子供に対して処置を行ったとかなんとか。
しかしあの技術は、まだ解凍後の肉体に対する影響などもあって、まだ一人の解凍も行われていない。
「冷凍保存……」
「この方法をやるには他にも問題があるがな。解凍方法もそうだが、そもそも私が生きている間に治療法が見つかるか。見つからなければ、最悪凍結されてそのままという可能性もあり得る」
「……」
「だから、それから美咲ともう一度会えるかどうかも分からない。慎重に選んでくれ。戦いが終わった後で残された時間をその身体で過ごすか、未来での再会に賭けるか」
俺はそう言われて、少し考えた。
菫と生きる事を望む一号がどちらを選ぶか、絶対に俺や一号を死なせないと決めている美咲がどちらを選ぶか。
前までの俺なら、迷わず一つに絞れたかも知れない。
でも今は違う。
一つの判断で、俺は誰かを悲しませてしまう。
少なくとも、これを今決めるのは無理だ。
「すみません、今これを選ぶのは難しそうです」
「そう言うと思って、一つ提案がある」
「提案ですか?」
「お前の持つ脳波制御能力で、その肉体の中に一号の脳波を入れる。そうすれば、ひとまず一号の肉体だけを冷凍保存出来る」
「……」
確かに、合理的な判断だ。
だが……一つ問題もある。
「一号がそれで良いのか、確認してからでも大丈夫ですか?」
「……問題ない」
掠れた声が聞こえる。
一号のものだ。
「一号!」
「話は聞いていた。福沢裕太、俺の事は気にせず……お前が決めてくれ」
苦しそうな声で、何とか途切れ途切れの言葉を発する一号。
「けど……」
「良いんだ。時間が無いのだろう?」
笑みを浮かべてそう答える。
「……分かった」
俺は色々思う事がありながらも、遥に告げた。
「遥先生、お願いします。冷凍保存の準備を……お願いします」
「……了解した。早速準備に取り掛かる」
「……」
「今から設備がある私の研究所に向かう。一日掛かるから、明日の夜にそこに来てくれ。あとでお前のスマホに位置データも送る」
遥はそう言ってから、体育館をあとにしようとする。
だが立ち止まって、俺に問いかけた。
「最後に一つ聞きたい。本当にお前は、美咲には戦いが終わるまで何も告げないつもりか?」
「……未来の話も、まず生き残らなければ意味がありません。だから、戦いが終わるまでは隠し通すつもりです」
「……そうか」
遥は今度こそ、そう残して去る。