浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百三話

 遥が去ってから、俺は目を覚ました一号と会話していた。

 

「良かったのか一号、本当にこれで」

「……」

「俺の頼みを聞いたら、お前はもう菫と会えないかも知れないんだぞ」

「……そっちこそ、もし俺が望む通りにしたら、お前の望みを全て絶つ事になるぞ」

「……」

 

 俺はそう言われて何も返せなかった。

 

「俺は、自分で望んで……菫の人形になった。そうなるとは知らなかったが、選んだのは俺だ。でもお前は違う。お前は菫の人形の一体にさせられたんだ。考える時間すら与えられず、理不尽にも俺に殺されて」

「……」

「だから、せめて俺とお前のどちらかを選ぶなら……お前であるべきだ。俺は菫の望みの為に生まれた人形だが、人間のお前には、お前を大切に思う仲間が沢山いるだろ」

 

 一号は一度息を吐いてから続ける。

 

「……そいつらの為にも、お前は自分の未来を勝ち取るべきだ。それに俺の身体があれば、最悪その身体が死んでも、死ぬ前に脳波だけ保存しておく事が出来る。そういう贅沢な使い道だってあるぞ」

「……お前がお前なりに俺の事を考えてくれてんのは、その言葉で分かる。けど、仲間がいるのはお前もそうだぞ。せめてお前も生き残らせてやる……。美咲と一緒に、お前も生きろ」

「……裕太」

「だから、一緒に生き残ろうぜ。お前と菫が一緒にいられる方法も、美咲はきっと考えようとしてくれる。俺も考える。お前だって、俺達の仲間なんだからな」

「……ははっ、ははは……」

「どうしたんだよ、急に笑ったりして」

「いや、あまり経たないうちにお前も変わったと思っただけだ。お前が俺を倒しに来た出来事からまだあまり日が経っていないのに、もう昔の出来事のようにも思える。あの時のお前と今のお前は別人のようだと思ってな」

「一号……」

「仲間……か。てっきりそう思ってくれてるのは美咲だけだと思ったが、お前もそうだったんだな」

「当たり前だろ? つい二日前にそう言ったばかりだろ」

「……そういえばそうだったな」

「……」

「裕太、お前は知らないかも知れないが……俺はかなり前にお前から頼まれた事がある。菫と生きる選択肢を選びたいなら、美咲と共に生きてみろ。そして……自分の罪を償う為にも。お前は俺にそう言ってくれたんだ」

「……」

「俺の中には、まだお前の心が少し残っていたんだ。そいつが、俺にそう言ってくれた」

「そうだったのか……」

「だから、お前に俺の脳波を預ける。一緒に生き残り、美咲と共に生きよう。今度は二人一緒だ」

「……ああ。だけどその前に、一つやりたい事があるんだけど良いか?」

「なんだ?」

「美咲と二人きりで明日過ごしたい。もしかしたら、それが出来るのは明日で最後かも知れないからな」


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