浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百六話

 そんなわけで、人の話をろくに聞きもしない無免許運転少女の仕様人の如く後ろから歩いていたわけだが。

 ただのお出かけに、何故かガチ装備で着ている少女の手にはその恰好に似つかわしくない仮面ライダーの変身ベルトとそれに使う感じのスタンプ。

 

「……次はどうしますの?」

「え?」

 

 唐突に俺にそう振られ、困惑する。

 

「今回は貴方が誘ったんですわよ。まさかノープランとは言いませんわよね?」

 

 そうだった。

 なんか無茶苦茶な事ばかりで忘れかけてたけど、こんな無茶苦茶な事になったのは何故か残された一日をこいつと過ごす事を選択したせいだった。

 要するに自業自得なわけだが。

 帰って良いかな……?

 いや、でもそれ言ったら間違いなく怒って自爆しそうな気がするし。

 

「んじゃあ、服とか見に行く?」

「今適当に考えましたわね?」

 

 間が長すぎてバレたか。

 

「はぁ、貴方の事ですしそうだろうと思ってましたわ」

 

 いや俺の事馬鹿にしてんのか。

 

「それじゃあ一つ付き合って欲しい場所がありますの」

 

※※※

 

 そう言われて美咲と向かったのは、眼鏡屋だ。

 ん……? 眼鏡屋?

 

「行きますわよ」

「あの……美咲さん」

「なんですの?」

「まさかこれまで奢らせる気じゃないよね?」

「いやそこまで考えてませんのよ」

「良かった」

 

 度入りかなりの額するからな……眼鏡。

 

「そろそろこの眼鏡も変えようと思ってましたのよ」

「それいつから使ってんだ?」

「高校入学の前に買い替えて以来ですわね。そろそろ買い替え時だと思ってましたわ」

「なるほど?」

「一応お金貰ってますから、今日買い替える眼鏡探しますわよ」

「へいへい」

「あ、貴方もちゃんと選ぶの手伝うんですわよ」

「へ?」

「そうでないと来た意味がありませんわよ」

 

 いや俺も選ぶの手伝うの……?

 

「俺こういうのあんま得意じゃないんだけど」

「何言ってますの? これが出来なきゃ貴方、彼女が出来た時に彼女の服を選ぶ事も出来ませんわよ」

「いや何で自分で決めないの? 何で彼氏に決めさせてんの?」

「貴方アホですの?」

「はあ!?」

 

 なんでアホ?

 服くらい自分で選べよ。

 

「貴方は女心が分かる分からないの次元じゃないんですのね」

「うるせえこちとら童貞歴=年齢だぞ」

「童貞でも分かる話な気がしますわよ」

「そうなのか?」

「……はあ、とにかく選びなさいな。貴方は女性の扱い方をちゃんと学ぶべきですわ」

「なんで年下のガキに女の扱い学ばにゃならんのか」

 

 これが分からない。

 

「つべこべ言わずにやりますわよ」

「はい」


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