浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百七話

 そんなわけで眼鏡屋の中に。

 視力測定とかをする前に、好きなデザインの眼鏡を探し始める。

 

「……」

「何か意見ありませんの?」

「いやこう言っちゃなんだけど、眼鏡の似合う似合わないどころか服の似合う似合わないもよく分かんねえんだよ」

「それを鍛える修行中ですのよ。ちゃんと考えなさいな」

「はいはい……」

 

 でもよく考えたら、俺はこの戦いで生き残れてもすぐに死ぬか、冷凍保存されてしばらくこの世界にはいない事になるんだよな……。

 何というか、どっちにしても俺童貞のまま死にそうな気がしてならない。

 果たしてこの修行も意味があるのか……。 

 

「これとこれとかよさそうですわね」

 

 早速美咲が自分で見つけたようだ。

 俺が美咲の方を向くと、丁度彼女が眼鏡を外そうとしていた所だった。

 

「……」

 

 やはり何度見ても、いや眼鏡を掛けていても思うけど……彼女は美人だ。

 こういう時、やはり相手が普通の女の子ならドキッとするんだろうけど……。

 いつもの素行で、フィルターが消える。

 

「何死んだ魚の眼でジロジロ見てますの?」

「いえ、何でもないです。早く着けてください」

 

※※※

 

 一つ目は、いつもの丸いレンズの眼鏡ではなく四角い紫縁の眼鏡。

 

「どうですの?」

「違和感あるな」

「え?」

「なんつーか落ち着かない」

「じゃあこれはどうですの?」

 

 次にもう一つ目の、縁なし眼鏡。

 こちらも同じく落ち着かない。

 

「ダメだ」

「もしかして裕太さん、誰かが違う格好してると落ち着かないんですの?」

「そうなのかもな」

 

 服ならまだいいけど、眼鏡はある意味そいつの顔の一部とも言えるし。

 

「仕方ないですわね……」

 

 次に美咲が取り出したのは、美咲がいつも使っている眼鏡と同型のもの。

 

「これはどうですの?」

「……」

 

 確かに落ち着く。

 だけど……。

 

「美咲……」

「なんですの?」

「今の俺の言葉を聞いて、それ選んだのか?」

「えっ……確かにそうですわね」

「別に俺の意見聞かなくとも、好きな奴選べばよくないか?」

「……確かにそうですわね」

 

※※※

 

 ――えっ? 私なんで裕太さんの気持ちに合わせたんですの? 私は私でちゃんと欲しいものがある筈なのに……。

 

※※※

 

「もしもし? 美咲さん?」

「あっ、いえ。何でもありませんの。それより貴方、ちゃんと似合う奴を探しなさいな。落ち着かないからとかじゃなくて、私のイメチェンに協力するんですわよ!」

「お前はまずその性格をイメチェンした方が良いと思うぞ」

「何か言いましたの?」

「そうやって爆弾取り出す癖をイメチェンしろっつってんだよ」


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