浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
美咲から家に来るように誘われ、研究所から遠い距離を車で移動中、俺の脳内で一号……健斗が話しかけてきた。
『裕太』
「なんだ? 健斗」
『その名を呼ばんで良いと、さっき言ったばかりだろう?』
「でも本名分かったんだし、もう一号呼びじゃなくてもよくないか?」
『……好きにしてくれ』
「んじゃあ健斗、なんだ?」
『お前の記憶や心をさっき覗いた。勿論昨日今日の出来事も全てな』
「いきなりだな……んで、それがどうしたんだよ」
『お前やはり美咲の事が好きだな?』
キキーッ!!
「っぶね。おい、変な事言うなよ。そんなわけないだろ?」
『まあ心を覗かなくとも、俺と融合する前の最後の一日に彼女との時間を選んだんだ。大体の人が察するだろうな』
「俺としてはそんなつもりないんだぞ。ただ……」
『なんだ?』
「俺も分かんないよ。てか、健斗はどうなんだよ。菫さんとはどんな感じだったんだ?」
『……』
「なんだよ」
『それこそ、俺の口から言わせるな。見たいなら記憶を覗いてみろ』
「お前今口ないだ
『ほいっ』
「のわっ!」
身体の所有権を取られてしまった。
「ほら、今からやるんだな」
『危ない健斗、前見ろ前!』
「え? うわあッ!」
健斗が急ブレーキで車を止める。
「ペーパードライバーだったな、俺」
『危ないから運転中に変わるのだけはやめろよな』
「分かった分かった」
健斗が引っ込んで俺と変わった。
「まったく……てかそれ言うなら、美咲も今日はおかしかったぞ」
『どういう事だ?』
「俺と遊ぶだけだってのにお洒落して、その上眼鏡まで選ばせて。なんか前までなら考えられないって言うか……」
『彼女もお前を好きという可能性が
「いやでもないな」
それなら俺をこき使うわけないしな。
「てか……まだ寝てるな」
『そうだな』
あんな無茶苦茶な運転されても寝てるとか。
普段の戦いの時に見せる強さというか覇気を感じないというか……やっぱり寝顔も綺麗というか。
「……」
『どうした?』
「いや……なんつーかさ。俺達、俺が二十三で、お前が確か……」
『上杉健斗としては二十五歳だな』
「そうそう。んでこいつは十八だ……言いたい事は分かるよな?」
『……』
「俺ら、なんつーか情けないよな。いい歳して、女子高生に守ってもらえなきゃここまで来れなかったなんてさ」
『ああ……』
「俺達色々あるけど、正直この借りだけはどう返したらいいか分かんねえや」
『……俺もだ』
健斗が笑みを浮かべたような気がした。
「生き残ったら考えようぜ」
『ああ……』
そして俺はもう一度アクセルを踏もうとしたが。
「あのーすみません、お兄さん?」
「はい」
「さっきから一人で喋ってるの見えたし、そこにいるの女子高生だよね?」
「……あ」
「ちょっと怪しいから署まで来てもらっていい?」
なんでそーなるの?
『任せた』
「逃げんな」