浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作：門矢心夜
車が自宅に到着しても、美咲は目を覚ましていない……。
と、恐らく裕太は思っているだろう。
実を言うと、裕太と一号が何やら騒がしくしていた時には既に起きていて、どうにかして警察を撒いていた時も、寝たふりをしていた。
結論から言うと……裕太はもしかしたら美咲の事が好きらしい。
それも何というか、異性として。
「……」
生き残ったら借りを返したい発言は、正直嬉しいと思う。
だけど、残念だが自分に対する好きという感情を受け取るのは難しい。
多分……多分だけど、美咲はまだ裕太の事を異性としては物足りないと思っている。
だって、ソウジと比べたら全然だし。
いや、待て。
ここで美咲の中で一つの疑問が浮かぶ。
私にはソウジがいる。
なんでソウジ以外の男の事を品定めし始めているのだろうか。
そもそもソウジが待っているんだから、本来なら品定めすらする必要はないはずだ。
これじゃあ完全に浮気したと思われても否定できないじゃないか！
私の感情さん黙りなさいな！ ソウジが好きという気持ちに逆らうな！ ソウジが好きという感情は常に正しい！ 私が裕太さんと間違いを犯す事はないですわ！
とか何とかやっていたその時。
「ついたのに起きないな……しょうがない」
え？ 何をするつもりですの？
私に確認も取らず何をするつもりですの？
薄目を開けて確認する。
すると……。
美咲はお姫様抱っこされていた。
「……！」
何してますの裕太さん！？
「いや、無理に起こすのはかわいそうだ」
だからって何故お姫様抱っこですの！？
これなら無理にでも起こして欲しいですわ！
「それに、好きなら多少強引にいかないとだな」
強引過ぎますわ！
「お前は気持ちに気付いて欲しくないのか？」
うん。そのせいで私気まずい想いしてますのよ。
想い？ 違う思いですわ！
想いだとなんか好きな人に使ってるみたいじゃないですの！
作者が漢字変換でも間違えたんですの！？
「そうかも知れんな」
というかさっきから裕太さん私の心読んでますわよね？
なんで？ あの時のソウジでもそんな事出来ませんわよ？
「好きだからだ」
どうしても私に好きになって欲しいんですの！？
「そうだ」
もうダメですわ。押しが強すぎますわ……。
※※※
謎に心が読める裕太と自室に赴き、ベッドに寝かされてから目を覚ましたフリをする。
「……裕太さん？」
「おう、おはよう」
「ここまで運んでくれましたの？」
「……超不本意だけどそうだ」
お姫様抱っこの件には触れずに問う。
「起こしてくれれば歩きましたわよ？」
「いやそれがさ、お、俺は別に良いって言ったのに健斗の奴
「馬鹿が！ それを言ってはダメだ！」
「一号さん……？ 貴方ですの？」
「へ……？」
「では裕太さんではなく、貴方がお姫様抱っこしたんですの？」
「なんでお姫様抱っこなのもバレてんだ！？」
「一号さん？ 私の心をもてあそ……いや、私の許可なく私に触れたんですわ。覚悟は出来てますわよね？」
「どうする？ 裕太？」
「大丈夫どうせ自爆する」
「当てるに決まってますわ！」
ポイッ！ カンッ！ ドーン！
「……なんでこうなるんですのよ！ いつもいつも！」
「……失敗したな」
「失敗したね」
おまけ
お姫様抱っこ時の会話
「ついたのに起きないな……しょうがない」
俺がそう呟くと。
『俺に変われ』
「へっ？」
再び一号……健斗が俺の身体の操作権を奪う。
健斗は美咲の身体を掴んで、お姫様抱っこ。
『お、おい何してんだ！』
「いや、無理に起こすのはかわいそうだ」
「それに、好きなら多少強引にいかないとだな」
「お前は気持ちに気付いて欲しくないのか？」
『別に好きじゃねえよ！ てか、まだ両親も起きてるから下手な真似したら怒られるぞ！』
「そうかも知れんな」
『どう言い訳するんだよ』
「好きだからだ」
『まあそう言い訳すれば……って馬鹿！ 何度も言うけど別にそうじゃねえよ！ そんな事両親に言ったら喜ばれるかも知れないけど、嘘がバレたらまずいぞ！ でも心の中は違うから、とでもお前は言うのか！？』
「そうだ」
『マジでふざけんなお前！ これ以上俺の感情読んで喋ったらぶん殴るからな！？』
それをしたら自分が痛いだけだけど。