浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「……」
結局、あの後は何もなくそのまま裕太と一号は眠った。
しかし……美咲だけはベッドで目を開けたまま天井を見つめている。
心臓の音が、うるさい。
前までなら、裕太にそんな事をされた所で弄ばれたなんて思わなかったのに。
「私、やっぱりおかしいですわ」
多分、今まで無自覚だっただけで……美咲も裕太と同じだ。
不本意だが、一緒にいるうちに……意識してしまったのかも知れない。
けど、だとしてもその感情に素直になる事は出来ない。
だって、美咲には……迎えに行かなければならない人がいる。
ソウジは、多分今も……どこかで苦労しているかも知れない。
頂点に立ち、それを救うと決めたのは美咲自身。
その約束を無かった事になんて……。
「……」
美咲は裕太の顔を見る。
自分より年上なのに、赤ん坊のように無防備で……子供のようで。
異性としては全然物足りないはずだし、ソウジと比較にならない面が沢山ある。
だから不思議と、守らなければと思ってしまう。
放っておけないし、そんな彼が不器用にも自分の前からいなくなろうとした時は叱ったりもした。
最初は本当に、交換条件に自分のお供として……相応しい人間に育てようとしただけなのに。
生徒会の仕事をする人が欲しかっただけなのに。
今では消えたら悲しいなんて次元をとっくに通り越して……。
「ごめんなさい、ソウジ」
少しだけ許して欲しい、そう心の中で呟く。
裕太の所に近付き、我慢出来なくなって……美咲は裕太の口に、唇を近付けた。
あの時、別れようとした時、美咲は裕太に……何故誘ったのかと聞いた。
前日声を掛けられた時も、正直不思議に思った。
何故裕太の方から、自分を誘うのだろうと。
弟子扱いしていると思っている人を、どうして誘うのだろうと。
一方で、美咲は美咲で……自然に眼鏡選びを手伝わせたりした。
いつからそんな風に考えていたかなんて分からない。
でも今日やっと自覚させられた。
「んっ……んっ……」
舌を絡ませ、裕太の唾液を自分の中に運ぶようにキスをする。
恥ずかしくて、ソウジにも申し訳なくて、身体中が熱かった。
でも……なんというか気持ちよい。
ソウジにしたのと同じくらい、もしかしたらそれ以上に深い口づけをした後、美咲はゆっくりと頭を上げて、もう一度見下ろし……裕太の頭を撫でる。
「流石にこれ以上は、無理ですわね……」
美咲は罪悪感を抱きながら、ふと呟く。
その場から動く事が出来ず、美咲はしばらく裕太の寝顔を見る事になった。