浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百二十話

 他の皆も特訓が始まった。

 俺は……俺達は……。

 

「ふん……」

「やっほーフク! あたし達が相手だよ~」

 

 なんで第三話のトラウマのほじくり返すんだよ明人さん……。

 俺の胃が痛くなるだろ!

 

『落ち着け裕太。お前の胃痛は俺にとってもダメージだ』

「うるせえよ。てかお前もあの時俺の身体に入ってたんだから今更だろ」

『ああ……痛かった』

「痛くて悪かったな」

「おい。一人芝居してねえで早くしろよ」

「分かったようるせえな」

 

 明人は遥から俺の中に一号……健斗がいる事を聞いたが、この二人にその説明はない。

 多分だが、俺に与えられた作戦は人格を上手く使い分けて戦えという事なのだろう。

 二号がこんな奴らとは違って良かった。

 イライラするか胃が痛くなってたら戦いどころじゃない。

 

「お前ムラマサとして戦った事はないよな?」

『ああ……だが恐らくお前に動いてもらえれば感覚はつかめるはずだ』

「りょーかい」

「だからいつまで一人芝居してんだよ!」

「うるせえよ!」

「それお前だよ!」

 

 そりゃそうだ。

 そう呟いて、俺はベルトを取り出す。

 相手も同じように、ベルトを装着する。

 

『ムラマサ!』

 

 俺は右腕を斜め上に伸ばして叫ぶ。

 

「変身!」

 

 端末をベルトに取り付ける。

 

『御意! 出陣! 仮面ライダームラマサ!』

 

 俺は上空からの刀の柄を取り、そこから段々と姿を変えていく。

 福沢裕太から、仮面ライダームラマサへ。

 変身が完了した後、俺は刀を構える。

 

「しゃあ!」

 

※※※

 

 明人の相手は優香と前田だ。

 自分自身の課題は複数の相手に対する対処力の向上。

 あの時、明人はアトミックのボムビットを躱す事が出来なかった。

 あれと同じ場面がもう一度来た時の為に、二人掛かりで来られた時の対処を見直せば、次に繋げると気付いたからだ。

 

「優香ちん、大丈夫ぅ?」

「だ、大丈夫系。何回か戦った事ある系だから」

 

 優香は大分緊張している。

 

「良いか。悪いが俺はお前達相手だろうと手加減をするつもりはないぞ」

「会長ぉ、優香ちんを殺す気~?」

「……お前達が本気でやらないなら、そうなる可能性もあるかもな」

「……!」

「大丈夫だよ優香ちん。優香ちんは私が守る」

 

 優香の戦いぶりはあまり見ていないが、成音からの話を聞く限りは、まだ判断力とか以前の問題だ。

 彼女の性格を考えれば仕方ないかも知れないが、とにかく躊躇する事が多い。

 今手加減するつもりはないと言ったのも、相手に覚悟させるつもりだったが逆効果だったか。

 

「戦ってみるしかないか」

 

 明人は端末を取り出し、ボタンを押す。

 

『ARC SWORD DRIVE READY?』

 

 端末を取り付ける。

 

『ARC COMPLETE……!』

 

 剣の柄を掴み、明人は剣の怪人・改……完成態へと変化した。


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