浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
六角美咲は狩野遥が用意した仮想空間による特訓だ。
特訓内容は、ボマードライバーとオールウェポンを完璧に使いこなし、尚且つ戦い方に対する拘りを捨てさせる事……だそうだ。
「えーっと、これで良いんですの?」
寝台の上で、ゴーグルを着けながら呟く。
「ああ。そのまま寝てからリラックスして、『リンク・スタート』と呟いてくれ。それがダイブ開始コマンドになる」
「わ、分かりましたわ」
美咲は仰向けに寝転がる。
目を閉じて、リラックスさせてから……美咲は呟く。
「リンク・スタート」
そう呟くと、白一色の背景の後から現れる虹色のリングを通り抜ける。
仮想空間での五感が正常かどうかの確認作業の後、ログインが完了した。
そのまま美咲は、仮想空間へと降り立った。
「……ここが仮想空間ですのね」
白一色の空間には、宙に0と1の水色の文字が浮かんでいた。
美咲はこの光景に見覚えがある。
……なんというか、令和一作目の仮面ライダーの人工衛星の中がこんな感じだった気がした。
「遥さん」
『なんだ?』
「これ自作ですの?」
『何が言いたい?』
「いや、これ飛電インテリジェンス製の製品かなと思いまして……」
『うちの姉さんがそのゴーグルと仮想空間を作った事があるんだ。その技術を応用しただけだ』
「貴女にお姉さんがいましたのね」
『まあ……彼女は半年前に捕まったがな』
「今は聞かないでおきますわ」
遥が咳払いをする。
『取り敢えず、今から私もボマーとしてダイブする。私の想定する戦い方を超えれば、美咲の特訓は成功だ』
「分かりましたわ」
美咲がそう呟いた後、仮想映像が途切れ。
しばらくしてから、遥が美咲の対面に現れる。
彼女もボマードライバーを取り付けた状態だ。
「遥さんと戦うなんて久しぶりですわね」
「……懐かしむのも良いが、この特訓の趣旨……ちゃんと覚えているだろうな?」
「……はいですわ」
美咲の甘さが、二号のあの行動を許してしまった。
今まではその甘さが美咲の良さだったが、この戦いにそれは許されない。
「私は、あの二人を絶対に止めたい。だから、戦闘不能になるまで容赦はするな」
「……」
美咲はドライバーを取り出す。
遥も同じように、端末を取り出した。
両者ともボタンを押し、構える。
『『BOMER DRIVE READY?』』
美咲はカブトゼクターを掴んだ時のような構え、遥は端末を前に突き出し。
「変身ですわ!」「変身」
『『COMPLETE』』
端末を取り付けると同時、頭上に爆弾が出現。
それを美咲は拳で握り潰し、遥は手を伸ばしたまま留まる。
爆発の後、二人は仮面ライダーボマーへと姿を変えた。