浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百二十一話

 六角美咲は狩野遥が用意した仮想空間による特訓だ。

 特訓内容は、ボマードライバーとオールウェポンを完璧に使いこなし、尚且つ戦い方に対する拘りを捨てさせる事……だそうだ。

 

「えーっと、これで良いんですの?」

 

 寝台の上で、ゴーグルを着けながら呟く。

 

「ああ。そのまま寝てからリラックスして、『リンク・スタート』と呟いてくれ。それがダイブ開始コマンドになる」

「わ、分かりましたわ」

 

 美咲は仰向けに寝転がる。

 目を閉じて、リラックスさせてから……美咲は呟く。

 

「リンク・スタート」

 

 そう呟くと、白一色の背景の後から現れる虹色のリングを通り抜ける。

 仮想空間での五感が正常かどうかの確認作業の後、ログインが完了した。

 そのまま美咲は、仮想空間へと降り立った。

 

「……ここが仮想空間ですのね」

 

 白一色の空間には、宙に0と1の水色の文字が浮かんでいた。

 美咲はこの光景に見覚えがある。

 ……なんというか、令和一作目の仮面ライダーの人工衛星の中がこんな感じだった気がした。

 

「遥さん」

『なんだ?』

「これ自作ですの?」

『何が言いたい?』

「いや、これ飛電インテリジェンス製の製品かなと思いまして……」

『うちの姉さんがそのゴーグルと仮想空間を作った事があるんだ。その技術を応用しただけだ』

「貴女にお姉さんがいましたのね」

『まあ……彼女は半年前に捕まったがな』

「今は聞かないでおきますわ」

 

 遥が咳払いをする。

 

『取り敢えず、今から私もボマーとしてダイブする。私の想定する戦い方を超えれば、美咲の特訓は成功だ』

「分かりましたわ」

 

 美咲がそう呟いた後、仮想映像が途切れ。

 しばらくしてから、遥が美咲の対面に現れる。

 彼女もボマードライバーを取り付けた状態だ。

 

「遥さんと戦うなんて久しぶりですわね」

「……懐かしむのも良いが、この特訓の趣旨……ちゃんと覚えているだろうな?」

「……はいですわ」

 

 美咲の甘さが、二号のあの行動を許してしまった。

 今まではその甘さが美咲の良さだったが、この戦いにそれは許されない。

 

「私は、あの二人を絶対に止めたい。だから、戦闘不能になるまで容赦はするな」

「……」

 

 美咲はドライバーを取り出す。

 遥も同じように、端末を取り出した。

 両者ともボタンを押し、構える。

 

『『BOMER DRIVE READY?』』

 

 美咲はカブトゼクターを掴んだ時のような構え、遥は端末を前に突き出し。

 

「変身ですわ!」「変身」

『『COMPLETE』』

 

 端末を取り付けると同時、頭上に爆弾が出現。

 それを美咲は拳で握り潰し、遥は手を伸ばしたまま留まる。

 爆発の後、二人は仮面ライダーボマーへと姿を変えた。


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