浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百二十三話

「ていっ! そらっ! せいやーっ!」

 

 俺は刀を振るって、第三話で俺にダメージを与えた悪魔達二人に当てようとしていた。

 

「……ッ!」

 

 だが案の定、刀が当たる事はない。

 俺の剣は空気のみを切り裂き、目の前の二人には何の効果も無かった。

 

 ――中に二人いるとは言え、いきなり一対二はきつかったんじゃねえのか?

 

『裕太……俺に変われ』

「待ってくれ!」

「待つわけねえだろ」

「お前に言ってねえよ!」

 

 ――待ってくれ。もう少し俺がやらないと、この後の戦いの時俺が置いて行かれちまう。

 

『しかし……このままではお前の体力が先に尽きるぞ』

「……ッ!」

「隙やり!」

 

 女子生徒の放った槍が腹に突き刺さり、その勢いで吹き飛ばされ、変身が解けてしまう。

 

「くっ……」

 

 俺は何とかもう一度立ち上がる。

 

「今度こそ、当ててやる……!」

 

 ドライバーを操作し直し、もう一度変身し。

 俺は刀を構えて、相手を見据えた。

 

※※※

 

 変身してから、美咲は遥の変身するボマー相手に立ち向かっている。

 自分なりの拘りを捨てずに戦う美咲と、理想的な立ち回りの遥。

 経験こそ美咲の方が勝っていたが、遥のやり方に少々苦戦している面があった。

 

「自爆使いすぎは流石にズルですわよ!」

 

 自爆能力の使用で中々近付く事が出来ず、何とか隙を見つけようと目を凝らす美咲。

 

「お前も同じ戦法が取れる筈だ」

「奥の手中の奥の手ですのよ。最初は正々堂々、小細工なしで立ち向かいますわ!」 

 

 そう叫んでから、美咲は地を蹴って遥に接近。

 もう一度自爆しようとする遥の腕にバットを振り下ろし、端末の操作を邪魔する。

 

「貰いましたわ!」

『ACCELERATOR DRIVE』

 

 加速能力……アクセルドライブを使って遥にもう一度近付こうとした。

 しかし。

 

「!」

 

 遥は背中のボムビットを飛ばして妨害する。

 何とかバットで全て切り伏せてから向かうが、既にオールウェポンを使い、遥は追い打ちをかけた。

 二丁の火炎放射器で、爆炎を放つ。

 

「わ、私も……」

「遅いっ!」

 

 美咲が取り出そうとした時には既に遅く、遥の持つ火炎放射器から放たれる火炎弾が行動の邪魔をする。

 大きく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられるや否や、素早く指を動かした遥が怪人召喚を使用した。

 

『SUMMON DRIVE SWORD』

 

 ボムビットが剣の怪人へと変化し、二人とも素早い動きで姿を消す。

 二人の斬撃が美咲の身体を何度も切り裂き、美咲は強制的に変身を解かれてしまう。

 

「きゃっ……」

 

 美咲は顔を上げて、オールウェポンボマーの姿を見る。

 

「あれが、ボマーの本気……」

 

 ああいう風に戦えば、美咲の勝つ確率だって上がるかも知れない。

 けど……それは美咲の望む戦い方じゃない。

 自分の戦い方で勝ってこそ、初めて勝利したと言える。

 その為なら……。

 

「絶対倒しますわ、遥さん……私の戦い方で、正々堂々と!」

 


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