浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百二十七話

 嫌な予感……それを感じて、成音は夜遅くに目を覚ました。

 すぐ近くにいた筈の者の気配が、今はないのだ。

 目を開けて、恐る恐る右隣を見る。

 そこには自分が目を閉じる前まで、ヴィーダがすやすやと寝息を立てて寝ていた筈だ。

 だが……そこには誰もいない。

 勿論、彼女のグングニルドライバーも。

 自分の布団の近くに置いていた、フレイムシャワードライバーも無くなっている。

 

「どういう……こと?」

 

 成音は動揺しながら跳ね起きた。

 もしかしたら、戸間菫や二号、その二人のどちらかが用意した者に攫われたのかも知れない。

 成音は慌てて眠る美咲の所へ駆け寄り、揺すりながら叫ぶ。

 

「会長! ねえ起きて会長!」

「んー……なんですの? もう朝ですの?」

「いないの、いないのよヴィーダが!」

「なんですって……?」

 

 美咲が眼鏡を掛けながら、成音を見てそう呟いた。

 

※※※

 

 成音達の声を聞いて目を覚ました者や、同じく眠っていた蘇我高校の生徒達も起こして、学校内を捜索する。

 すると……。

 

「遥先公もいねえぞ」

 

 蘇我高校の生徒の一人がそれに気付く。

 

「という事は、二人ともどっかに……」

「とにかく、全員で手分けして外へ探しに行きますわよ。良いですわね?」

「ああ」

「おっ系」

「いーよ」

 

 裕太や明人、優香や前田もそれに頷く。

 

「おい待てよ」

 

 そう言ったのは、蘇我高校の生徒の一人だ。

 

「なんですの?」

「あの二人探しに行くってんなら、そうはさせないぜ」

「……」

「そうっすよ美咲さん。もし敵側に攫われていたとしたらどうするんすか。俺らまで捕まる可能性もある。そんな事があるかも知れないのに、あんな人の為にそんな危険行為させられないっすよ」

「……」

「大体さ、俺らがあの女に何されたのか分かってるよな?」

「あの女に化け物の姿から戻せなくさせられて、その上知らない奴から人殺しをさせられてたんだぞ。その原因作った奴をそんなリスク犯しても助けに行く? アンタ何考えてるんだ」

「ちょっと、ヴィーダは何も悪い事してないでしょ! ヴィーダの為にも、お願いよ! あたしの大事な家族……仲間なのよ!」

「そうですわ。別に協力しろとは言ってませんの。私達だけでも、行かせて欲しいですわ」

「もし怪我でもして、貴重な特訓期間を潰す事になったらどうするんだ?」

「そ、それは……」

 

 成音が呟く。

 

「今はそんな事を言っている場合じゃないだろ!」

 

 裕太がそう叫んだ瞬間、生徒の一人が言う。

 

「そうすか。どうしても行くんすか?」

「そのつもりですわ。仲間が攫われてるのに、放っておけませんわ」

「なら俺らが止める。こっちは明人さんにわざわざ呼ばれて来てんだ。こっちの都合も考えて欲しいぜ」

 

 話していた生徒二人がドライバーを装着する。

 


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