浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百三十一話

「ソンナノデキナイヨ!」

「……!」

「ミサキダッテ、ユウタヤイチゴウノイノチアキラメテナイ! ダカラヴィーダモ、コノヒトタチノイノチヲアキラメナイ!」

 

 ファイナルドライブを放とうとするグングニル。

 しかし、集団で襲い掛かる剣の怪人・改に腕を掴まれてそれを阻まれる。

 

「グエッ! ギャア!」

 

 何回か殴られ、吹き飛ばされるグングニル。

 

「誰か助けを……!」

 

 遥は衝動的にスマホを取り出し、美咲に連絡する。

 

※※※

 

「遥さんからですわ!」

 

 美咲は遥からの着信に応じる。

 

「はい!」

『美咲、今起きているか!』

「起きてますわよ! 今貴女達を探して」

『悪いが助けてくれ! 菫の送り出した怪人の集団に囲まれた! それもオリジナルと同等の性能……このままじゃヴィーダが!』

「分かりましたわ!」

 

 美咲は着信を切る前に、別れようとした全員に告げる。

 

「皆さん、遥さんとヴィーダさんが襲われてますわ。このまま全員で行きますわよ!」

「ああ!」

 

 裕太がそう返事を返したその時。

 

「!」

 

 美咲に向かって、一直線に赤い光の刃が放たれる。

 覚えがある。剣の怪人・改のものだ。

 正面を見ると、剣の怪人・改の集団が……自分達を塞いでいた。

 

「ここにも来たのか……!」

「成音さん、貴女は下がってなさいな!」

 

 美咲、裕太、明人、優香、前田の五人で同時に変身する。

 

「変身ですわ!」「変身」「変身系!」「変~身!」

 

 それぞれの姿に変わり、武器を構えて向かっていく。

 

「ごめん皆……!」

 

 成音はそう告げて、学校の方へと戻っていった。

 

※※※

 

 殴られ続けたグングニルは、やがて変身も解けてしまう。

 

「早く、早く来れないのか!」

『こっちも剣の怪人達に阻まれましたわ!』

「一人でもいい、こっちに来てくれ! このままじゃヴィーダが!」

『……ッ! うわあッ!』

 

 美咲が吹き飛ばされ、その衝撃で通話が切れる。 

 

「美咲!」

 

 遥もロードドライバーを使って変身、立ち向かう。

 

「ヴィーダ!」

 

 何とか手にしている剣で、ヴィーダの身体を掴む剣の怪人・改を退ける。

 

「ママ……」

「ヴィーダ……。お前はママが絶対守る」

「ママ、ダメッ!」

 

 ヴィーダの制止も振り切って、遥は剣の怪人・改へと向かっていく。

 

「はああッ!」

 

 指揮官怪人の力は、自作の怪人の中では最高戦力。

 だがやはりグングニルやアトミックといった仮面ライダーには基本スペックで勝つ事は出来ない。

 ライダーと同等の実力を持つ剣の怪人・改に、指揮官怪人が太刀打ちできる筈もなかった。

 

「ぐっ……」

「ママ、ヤメテ……ダメダヨ。ママガシンジャウ!」

「……死にたくないし、死ぬわけないだろ。あの子の仇、私は取るって決めたんだぞ」

 

 遥は立ち上がる。

 召喚した槍を構え、先を向けて告げた。

 

「送れるものなら送ってみせろ。私をあの子の所にな」


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