浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百三十二話

 成音は戦線を離脱してから、急いで蘇我高校の生徒達の所へと向かった。

 ドライバーを持っていない自分は戦えない。

 今からヴィーダ達を助ける為には、やはり彼らの力がなんとしても必要だった。

 

「皆、まだ起きてる!?」

 

 成音は蘇我高校の生徒達が眠っていた部屋に入っていく。

 幸いまだ寝ておらず、何やら話し合いをしていたように見えた。

 

「何の用だ」

 

 嫌そうに睨みつけてくる生徒達に、成音は土下座して頼み込む。

 

「お願いよ。あたし達に力を貸して!」

「あ? お前達だけで十分じゃなかったのかよ」

「それが……今会長達の前に菫の手先が現れて。アンタ達の力が必要なのよ!」

「ふん、それこそ死んでも御免だな」

「どうせ俺達に、狩野遥とあの小娘を助ける手伝いをしろっつーんすよね?」

「そうよ」

「だから、なんで俺達まであいつらを助けるのに命を掛けなくちゃいけねえんだ? それこそ、お前達に任せた意味がねえじゃねえか」

 

 成音は拳を握る。

 やはり、この人達は……心の底から彼女らを嫌っているのだと確信したから。

 成音は諦めた表情で、その場の皆に告げる。

 

「……分かったわ。もう頼まない」

「……」

「でも、もしそうなら……もうあたしには関わらないで欲しい」

「あ? どういう事だよ」

「アンタ達があたしの家族の事をそこまで言うなら、そんな態度を取る人達に強くしてもらおうなんて思わない。あたしはアンタ達の為には戦わない」

「……」

 

 蘇我高校の生徒達の何人かが成音を睨みつける。

 

「アンタ達は蘇我高校の生徒だから強いって思ってたけど、やっぱり明人の言う通りね。これまでだって、あたし達に頼らず、遥さんからベルトを借りて自分達で戦う事だって出来た筈よ。でもそれをしなかった。アンタ達は、自分のしたい事にすら命を懸けられない。そんな人達に、あたしの家族を任せたあたしが馬鹿だったわよ」

「なんだと……」

「プライドが傷付いた、とでも言うつもりなの? 元々……あたし達にそれを頼んでる時点で、プライドなんてない癖に」

「くっ……」

「もう良いわ。こんな不毛な会話をしている間にも、皆は苦しんでいる。あたし……一人で戦う。アンタ達、とっとと帰りなさい。もう一度言うけど、あたしはアンタ達に強くしてもらわなきゃならない程弱くないんだから」

 

 そう彼らに告げて、成音は行く。

 本当に無意味な時間を過ごした……そう心の中で後悔しながら、校舎の外へもう一度走っていく。

 耳を澄ませて、ヴィーダ達のいる場所に向かって。

 


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