浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百三十九話

 蘇我高校の生徒達の一部は、恐怖の感情。

 一号……上杉健斗とヴィーダは怒り。

 それぞれ、さっきの出来事に対して何かしらの感情を抱きながら……朝四時。

 全員で〇×女子高へと帰還した。

 

「……見たのか」

 

 明人が、ヴィーダ達の助っ人に向かった蘇我高校の生徒達に問う。

 

「見ました。明人さん……」

「仮面ライダーアトミック……いやそれを扱う二号という者の強さは、俺達とは別格だ。いくら経験を積んだお前達でも勝てる相手ではない。だから、山内成音達に狩野遥やヴィーダを助けることを優先させた。それは分かったな?」

「はい……」

「俺、あいつがムカついて仕方ねえっすよ! 仲間は簡単に殺すし、俺の事を戦いもしねえで弱えってよ。俺、今度あいつと会ったら」

「殴るんすか? 先輩」

「当たり前だろ! あんなに言われたら、戦うなって言われてもな!」

「怖いっすよ。俺……もし自分が戦うって考えたら」

 

 生徒の言葉に、ヴィーダが言う。

 

「オジケヅイタノ?」

「ヴィーダ……?」

 

 ヴィーダの言葉に、成音が動揺する。

 

「ミンナ、コロサレタ。ヴィーダ……スゴイオコッテル。ナノニ、ミンナハソウヤッテコワガルコトシカデキナイノ!?」

「ヴィーダ、落ち着いて!」

「ああそうさ! 怖気づいたさ! あんなの勝てっこないって思って当たり前だ! 力だけはいっちょ前のお前でさえどうにか出来ねえのに、俺らがどうにか出来るわけねえだろ!」

「……」

 

 それを聞いていた裕太……いや、一号が告げる。

 

「そこまで言うのか。ならばやはり、お前達は俺の特訓相手に相応しくないな」

「アンタ……」

「おいフク。お前調子乗んなよ。お前俺らより弱いくせに楯突くのか?」

 

 蘇我高校の生徒が、裕太の身体に掴みかかった。

 

「離れろ……雑魚が」

「あん!?」

 

 殴り掛かった生徒の拳を、一号が受け止める。

 

「あまり俺を怒らせるな」

「上等だコラ……お前なんてボコボコに」

「止せ」

 

 明人が止める。

 

「その余力は特訓の時に使え。二度も言わすなよ」

「はい……」

「……」

 

 一号は背を向けて、体育館の外へ。

 

「一号さん……」

 

 美咲はその後で、彼を追いかける。

 

※※※

 

 体育館から少し離れた場所に隠れて、健斗は拳を叩きつける。

 

『健斗……さっきのは』

「裕太。みなまで言うな。二号を恐れるような奴が、お前を強く出来るとは思えない。あんな奴と特訓した所で、俺達は勝てない」

『……健斗』

「美咲は……人殺しをした俺に対しても、仲間だと言ってくれた。だから、菫が作ったあいつらも……俺の仲間なんだ。けど……けどっ! 菫があいつさえ生まなければ……」

『……』

「俺……そんなのを見ても、菫に対して怒る事も出来ない。二号に対して怒りを抱けるのに、やっぱり菫相手には……」

 

 健斗は悔し涙を流す。

 それを見ていた美咲が……。

 

「一号さん、ですわよね?」

「……」

 

 健斗にそう声を掛けた。


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