浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
蘇我高校の生徒達の一部は、恐怖の感情。
一号……上杉健斗とヴィーダは怒り。
それぞれ、さっきの出来事に対して何かしらの感情を抱きながら……朝四時。
全員で〇×女子高へと帰還した。
「……見たのか」
明人が、ヴィーダ達の助っ人に向かった蘇我高校の生徒達に問う。
「見ました。明人さん……」
「仮面ライダーアトミック……いやそれを扱う二号という者の強さは、俺達とは別格だ。いくら経験を積んだお前達でも勝てる相手ではない。だから、山内成音達に狩野遥やヴィーダを助けることを優先させた。それは分かったな?」
「はい……」
「俺、あいつがムカついて仕方ねえっすよ! 仲間は簡単に殺すし、俺の事を戦いもしねえで弱えってよ。俺、今度あいつと会ったら」
「殴るんすか? 先輩」
「当たり前だろ! あんなに言われたら、戦うなって言われてもな!」
「怖いっすよ。俺……もし自分が戦うって考えたら」
生徒の言葉に、ヴィーダが言う。
「オジケヅイタノ?」
「ヴィーダ……?」
ヴィーダの言葉に、成音が動揺する。
「ミンナ、コロサレタ。ヴィーダ……スゴイオコッテル。ナノニ、ミンナハソウヤッテコワガルコトシカデキナイノ!?」
「ヴィーダ、落ち着いて!」
「ああそうさ! 怖気づいたさ! あんなの勝てっこないって思って当たり前だ! 力だけはいっちょ前のお前でさえどうにか出来ねえのに、俺らがどうにか出来るわけねえだろ!」
「……」
それを聞いていた裕太……いや、一号が告げる。
「そこまで言うのか。ならばやはり、お前達は俺の特訓相手に相応しくないな」
「アンタ……」
「おいフク。お前調子乗んなよ。お前俺らより弱いくせに楯突くのか?」
蘇我高校の生徒が、裕太の身体に掴みかかった。
「離れろ……雑魚が」
「あん!?」
殴り掛かった生徒の拳を、一号が受け止める。
「あまり俺を怒らせるな」
「上等だコラ……お前なんてボコボコに」
「止せ」
明人が止める。
「その余力は特訓の時に使え。二度も言わすなよ」
「はい……」
「……」
一号は背を向けて、体育館の外へ。
「一号さん……」
美咲はその後で、彼を追いかける。
※※※
体育館から少し離れた場所に隠れて、健斗は拳を叩きつける。
『健斗……さっきのは』
「裕太。みなまで言うな。二号を恐れるような奴が、お前を強く出来るとは思えない。あんな奴と特訓した所で、俺達は勝てない」
『……健斗』
「美咲は……人殺しをした俺に対しても、仲間だと言ってくれた。だから、菫が作ったあいつらも……俺の仲間なんだ。けど……けどっ! 菫があいつさえ生まなければ……」
『……』
「俺……そんなのを見ても、菫に対して怒る事も出来ない。二号に対して怒りを抱けるのに、やっぱり菫相手には……」
健斗は悔し涙を流す。
それを見ていた美咲が……。
「一号さん、ですわよね?」
「……」
健斗にそう声を掛けた。