浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー 作:門矢心夜
「なんなんださっきの。フクにしては結構言ってたな」
剣の怪人に変身していた生徒が言う。
「でもよ……フクにしては変じゃなかったか? イキってるわけじゃなくて、アレはマジに聞こえたぜ」
「あたしがボールを投げまくったフクは……ああじゃなかったわ」
「痴漢が来るーって言われて焦って追いかけてたフクじゃなかったわよねアレ」
――蘇我高校の女子生徒達酷すぎるわね……裕太を何だと思ってるのかしら。
「今のあの人は、アンタ達の知ってる裕太じゃないわ」
「あ? どういうこったよ」
「……そもそも、裕太のあの身体はあたし達と違う。戸間菫によって造られたもの。そしてあの身体には……人格が二つある」
「人格が二つ……?」
「ええ。あの人は裕太じゃなくて……あたし達が一号って呼んでる人。戸間菫の実験の被験者にして、本物の福沢裕太を殺した人。それに……戸間菫の命令で、遥さんの大切な人を殺した人」
「ま、マジかよ……」
「じゃあ、俺らのパシ……先公だったあいつは……」
なんかまた可哀想な響きが聞こえたけど、空気的にスルーね。
「裕太であって裕太じゃない……人造人間だったって事よ」
「……マジかよ」
「でも……それなら腑に落ちるな。ドライバーを盗んだわけも、狩野遥の計画を最初邪魔しようとしたわけも」
「……」
※※※
「ナンデ……ミンナコワガルノカナ……」
「……」
ヴィーダが分からないと言いたい顔で、健斗の方を見る。
「俺にも分からん。ただ分かるのは、あいつらに任せた所で……何の成長にも繋がらないという事だけだ」
「イチゴウハ、ヴィーダノキモチワカッテクレル?」
「ああ……分かるさ。俺だって、あんなに簡単に命を奪うあいつを黙って見過ごせない。それに……俺はあいつが幼馴染だった事を思い出したんだ。あれ以上、あいつに罪を重ねさせたくない」
「ヴィーダモ、アイツトメタイ」
「ああ……」
健斗は俯きながらそう呟く。
『健斗……』
「なんだ、裕太」
『これからどうする気なんだ? お前とヴィーダだけで』
「……何か別の方法を探すまでだ。幸いヴィーダはやる気だ。ヴィーダと共に特訓する……という手もあるのではないか?」
『そうだな……それもそうかも知れないな』
「大体、あいつらとの特訓は……お前にとっては苦痛な筈だ。お前はあいつらのせいで体調を崩していたではないか」
『……』
「お前の為にも、俺達だけで特訓する。ヴィーダ、組み手でもするぞ」
「ウン、ワカッタ」
健斗に対してヴィーダが左拳を握って答える。
朝六時。二号が告げた約束の日まで、三日と十数時間。