浅井三姉妹のバカな日常外伝 仮面ライダーボマー   作:門矢心夜

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第二百四十二話

 結局二人が戻らないまま、美咲は遥の所へ向かう。

 だが当然と言えば当然か……遥自身、それどころじゃないと言わんばかりに疲労していた。

 

「美咲か……」

「特訓は、出来そうですの? 無理なら強制は出来ませんわ」

「……そういうわけにもいかん。あの人型は恐らく……菫が作った。確か、二号は菫とは決別した筈だな?」

「そういう事を言ってたように聞こえましたわね」

「恐らく昨日の攻撃の意図は、自分に逆らった二号に戦わせない……というものだろうな。だとしたら、またあの人型を作られる可能性は大いにある。それを二号がまた処分する……という事もな」

「……」

「それをした私だから分かる。目的の為に悪戯に命を作りだすのは、目的の為に誰かを殺す事と同じくらい罪深い事だ。作られた命……それも思考を作り主の思い通りに変えたとて、その枷が外れれば自然と欲望が生まれ、普通の人間と変わらない欲望が生まれる。ヴィーダや一号、そして二号がそうだったようにな。どんなに作り主がその性格をいじろうと、自分のしたい事の為に生きたいというのまでは変えられない。そして生き続ければ、他の欲が出てくる。だから、それすら度外視してこんな事を続ける菫を、私は止めないとならない。ヴィーダや一号もそれを望んでいる……筈だ」

「そうですわね……」

「だが、昨日の行動は些か自分勝手だった。すまなかった。私が傷付けた蘇我高校の生徒や、ヴィーダの顔を見ていたら居ても立っても居られなかったんだ」

「自分のしたい事があれば、誰にも相談せず一人でもやろうとする。私は貴女よりもそういう生き方をしてきましたもの。私はそれを悪い事だとは思いませんわ」

「そうか……」

 

 美咲の笑みに対して、遥も口元だけ笑顔を作って呟く。

 

「けど……ですわ。貴女は菫さんを殺してでも止められればいいのか、それともこれからもヴィーダさんと一緒にいたいのか。どちらなんですの?」

「……それは」

「少なくとも、貴女が進んで罪を犯すような真似をしない人間なのは確かですわ。貴女がそうしようとしたのは、仕方がなかったんですわよね」

「ああ」

「ヴィーダさんといたいという気持ち……貴女はそれを優先すべきですの」

「けど、それでは……」

「本当にヴィーダさんが心配なら、私一人で戦う選択をしても良いですわ」

「……」

「その為の特訓ですもの。出来る事なら、私一人の力で二号さんを倒したいですわ」

「美咲……」

「じゃあ、取り敢えず話はここまでにして……いけそうですの? 私は今度こそ負けませんわよ」

「……」

「やっぱり、無理そうですの?」

「いや、私の為にそこまでしてくれるお前に……どう礼を言ったら良いか分からなくてな」

「私は誰かの為に何かをした事はありませんわよ。全部自己満足ですの」

「……そうか」

 

 遥は一息ついてから言う。

 

「やるぞ。特訓を……絶対に勝つ為に」

「ありがとうございますわ」

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